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左は鄭潔 |
全豪オープン優勝 |
テニスの全英オープンで、俊敏なフットワークやパワフルなショットで快進撃を続けた中国人選手がいる。女子テニスの国家代表、鄭潔だ。6月27日のシングルス3回戦で、世界ランク1位で第1シードのアナ・イバノビッチ(セルビア)にストレート勝ちし、世界を驚かせた。その勢いを持続して、準々決勝も勝利し、中国人選手としては初の4大大会(全豪・全仏・全英・全米オープン)シングルス4強入りを果たした。世界ランク133位でありながら、破竹の勢いで勝ち進んでいる鄭潔への注目は高まってきている。
だが、彼女が世界の表舞台に出てきたのは、決して初めてではない。2006年、女子ダブルスで、鄭潔は同じく中国代表の晏紫とペアを組んで、自分よりはるかに格上の選手を相次いで下し、全豪オープンと全英オープンで2度、栄冠を手にした。
中国テニスの快進撃は、2004年アテネ五輪の女子ダブルスで、李テイ(女に亭)・孫甜甜組が中国テニス初の金メダルを獲得したことでスタートした。そして鄭潔と晏紫は、中国テニスの地位を確固たるものにしたペアといえよう。李テイの引退後、鄭潔・晏紫組は中国女子ダブルスで最も有力視されるペアとなり、北京五輪に向けて、国中のスポーツファンから期待を集めている。
北京五輪を前に、中国国営の中央テレビ(CCTV)が二人に、これまでの歩みや北京五輪にかける思いなどを聞いた。
記者:二人とも小柄で、テニスウェアじゃないとなかなかスポーツ選手とは思えませんね。
鄭(鄭潔):そうなんですよ。この前、テレビ番組の収録があって、タクシーでスタジオに行ったのですが、運転手にテニス選手だと言っても信じてくれませんでした。テニスの選手は、ラケットを振ったら人を打ち飛ばしちゃうような、すごく丈夫な人に違いない、なんて言われたんです。
晏(晏紫):あんたらは小さくて痩せてるのにテニス選手なんてふざけんなよって言われました。(笑い)
記者:テニスを始めたきっかけは?
鄭:親に連れられて、自然と好きになりました。まあ、子供のころは、テニスが好きだからというより、一緒に遊ぶ人がたくさんいたから、なんですけど。
晏:小さい頃は体が弱くてよく病気をしたので、何か体を丈夫にする方法はないかと親が考えてくれたんです。そのとき、たまたまテニスクラブの部員募集がありました。
記者:鄭潔さんは、体が小さなためプロ選手になれなかったところだったそうですが。
鄭:骨年齢から身長がどれくらい伸びる余地があるのか調べてもらったのですが、大きくなってもあんまり伸びないことがわかったんです。それで、私をプロに入れるか入れないか、クラブでは議論がありました。幸い、私の担当コーチが皆を説得してくれたんです。「全国で上位3位に入ることは保証する」って。
記者:なんでそんなに信じてくれていたのでしょう?
鄭:私のことを真面目だと認めてくれていたじゃないでしょうか。
晏:ラケットを振る練習とかランニングのとき、手抜きをする子供とか、いるじゃないですか。でも鄭潔はそれはしない。コーチから言われたことをきっちり守って、簡単な動作でも真面目にやるのが彼女のいいところです。
記者:では晏紫さんはどう?たとえば同じ動作を繰り返す練習とか。
晏:私は少なくとも鄭潔よりは怠け者ですね。プロ選手になった動機は、その食堂でしか食べられないアイスクリームを食べることでしたから。(笑い)
記者:お二人がペアを組むのは?
鄭潔:まったくの偶然でした。チームで一番年下の2人でしたから、ペア組んでみろといわれたのがきっかけです。
記者:最初の試合は、まだ覚えています?
鄭潔:忘れました。それより、晏紫の鼻を打った試合のほうが印象深い。
記者:どういうこと?
鄭潔:ペアを組んで間もないのことでしたが、二人で同時にボールを打とうとしたんです。私が空から飛んできたボールを打とうと力いっぱいでラケットを頭の後ろに回したところ、後ろから向かってきた晏紫の鼻を打っちゃいました。すぐ、鼻血が出て、泣いたんですよね?
晏紫:頭がふらふらしちゃいました。
記者:ボールを受け損なって、相手に文句をつけることは?
晏紫:全然なし。互いに励ましあってやってきました。
記者:鄭潔さんと晏紫さんは、小さい頃から知り合っているから世界チャンピオンになれたといわれていますけど。
晏紫:そうですね。子供の頃から今まで、ずっと同じ寮に住んでいるし、買い物や遊ぶときも一緒に出かけます。
鄭潔:肉親よりも親しいんじゃないでしょうか。こういう「心の触れ合い」が、どんな困難にあっても前向きに立ち向かうように、私たちを支えてくれていると思います。
記者:全豪オープンとウィンブルドンで中国人初の4大大会優勝を果たしましたが、それで何か心の変化がありましたか?
鄭潔:前より精神的に強くなれたと思います。昔は、自分よりランクが上の相手に会ったら結果をあんまり考えずに、とにかくチャレンジしようという気持ちが強かったのですが、いまは、うまくやれば勝てると思えるようになりました。
記者:北京五輪に向けて、目標は?
鄭潔:いい結果が出ればいいと思うけど、とりあえず一歩一歩勝ちあがっていきたいです。
プロフィール:
鄭潔(中国語読み「ジャン・ジェー」)、1983年7月、中国四川省の生まれ。164センチ。
晏紫(中国語読み「イェン・ズー」)、1984年11月、四川省の生まれ。171センチ。
2006年、全豪オープン優勝、全仏オープン4強、全英オープン優勝、ドーハ・アジア大会優勝
2007年全豪オープン4強
2008年全豪オープン4強
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