今年は中国の金融業が全面的に開放された最初の年です。香港も含めた外資系銀行が中国で一般庶民向けの人民元業務を取り扱い始め、中国国内の銀行と同じような待遇を受けるようになりました。
香港上海銀行の北京営業店がオープンして間もなく、陳恵宇さんはその「卓越財テク」という特別財テクサービスに加入しました。
「私はロンドンへ旅行に出かけた時、財布を失くしました。香港上海銀行のロンドン営業店へ行って、1000ドルのお金をスムーズに借りることが出来ました。たいへん助かりましたよ」と陳さんが伝えてくれました。
しかし、外資系銀行は多くの中国人にとってはまだ高嶺の花です。なぜかと言うと、いま、中国にあるほとんどの外資系銀行は貯金する額に下限はないものの、口座の残高が一定金額を下回った場合には、口座管理費を取られます。例えば、香港上海銀行の場合、残高が10万元以下になると、毎月150元の口座管理費が取られます。また、陳さんのような「特別財テク」サービスを選んだ場合、口座の残高が50万元以下になると、毎月の口座管理費はなんと300元も取られるということです。管理費が一番少ない東アジア銀行でも、残高が5000元以下になると、毎月10元の管理費が取られるということです。
「営業店舗が少ないのに、管理費が高い」。このため外資系銀行は一部の人にしか利用されていません。でも、香港上海銀行北京支店の丁国良総経理によりますと、銀行業には、「二八原則」という言葉があると言います。つまり、2割のお客さんが利潤の8割をもたらすというのです。
これについて、香港上海銀行北京支店の丁国良総経理は、「口座管理費などはとても透明なやり方で、はっきりとお客さんに明示しています。これは銀行がターゲットを絞るやり方の一つです」と語りました。
いずれにしても、外資系銀行は確かに中国人の身近にやってきました。一般庶民が銀行を選ぶ権利の幅も広がりました。金融市場の開放は金融業の活力促進にプラスとなる一方で、金融リスクをもたらす恐れもあると心配されています。しかし、世界で最も安定し、最も効率の良い金融システムはスイスや香港のような国際化レベルが高い国や地区にあります。つまり、金融システムの効率や安定性はその国の開放度と一致していると言えます。外資系銀行が中国の地元の銀行になり、中国で金融システムの利益を享受する同時に、中国の金融市場にあるリスクも受けるのは致し方のないことだと思います。(終わり)(劉叡琳)
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