2006年の夏、ドイツで行われたサッカーワールドカップの熱気は世界各地の人々を魅了しました。残念ながら、今回のワールドカップでは中国チームの姿を見ることは出来ませんでしたが、でも、ある中国企業は自らの力でWカップ市場に参入し、中国製品の新たな伝説を作りました。それは中国大連の路明グループです。大勢のサッカーファンは路明グループの生産した超大型スクリーンを通じて熱戦を十分に堪能したのです。経済スクランブルは二回に分けて、路明グループがWカップ市場に進出した物語をご紹介します。
これまで、世界的なスポーツ大会に使われていた超大型スクリーンはほとんど海外の大手メーカーのものでした。中国で行われる世界的な試合でも中国製のスクリーンを余り使わず、この市場は日本やオランダ、ドイツ、アメリカの企業に独占されていました。Wカップからの入札要請、これはどの企業にとっても自己PRをする絶好のチャンスで、まるで夢のようなことなのです。
では、路明グループとは一体どんな会社なのでしょうか。なぜWカップ組織委員会を引き付ける魅力を持っていたのでしょうか。
路明グループはモニター製造業においては中国で有名な企業です。2003年、アメリカのAXT社を買収して、世界的に名を馳せました。AXT社は世界4番目のブラウン管チップの生産企業で、AXT社の買収によって、路明グループはブラウン管チップの生産技術を手に入れ、40項目以上の特許技術を手にして、世界的なLED超大型スクリーンの生産企業となりました。
路明グループの入札意向に対し、ドイツ側は早速返事をしました。入札参加に歓迎の意を示すとともに、「1週間以内に詳しい入札企画書を提出するように」との要求を出しました。このような差し迫った状況に対し、肖社長はちょっと躊躇しました。
路明グループの職員にとって、Wカップの入札には何のためらいも要らないものです。なぜかと言うと、路明グループは2004年、大連サッカー場に200平方メートルの超大型LEDスクリーンを作ったことがあり、そのスクリーンはアジア一の大きさを誇り、これまで一度も故障したことがなかったからです。また、2005年、路明グループは中国映画博物館の展示ホールに延べ2000平方メートルの超大型モニターシステムを作り、世界的なモニター企業になるための第一歩と言われていました。このような業績から考えると、Wカップへの入札は当たりまえのことではないかと社員達は思ったのです。
社長が心配する一方で、職員たちはやる気満々でした。大連は中国で「サッカーの都」と呼ばれ、路明グループの超大型スクリーンがもしWカップの会場に登場できれば、職員だけでなく、市民の誇りともなりからです。(つづく)
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