ここ数年、中国製品の海外進出が進み、世界の消費者から好評を博しています。国際発展の道を選んだ中国企業は、ますます企業の成長と発展にとって、ブランド価値の重要性を意識するようになりました。伝統な製造業から、新しいハイテク産業まで、中国企業の間では、世界に通用する「中国民族ブランド」を確立させようという意識が強まっています。スポットライト、今回は中国の民族ブランドに関する動きについてご紹介します。
中国では、輸出が年々増えているものの、影響力のある中国民族ブランド製品はそれほど多くありません。多くの中国製商品は外国ブランドのラベルを付けて輸出されるので、商品輸出による国全体の利益はそれほど多くありません。このような状況を改めるため、一部の中国企業は民族ブランドの発展戦略を立てました。
長い間、中国の乗用車市場には、外国ブランドが満ち溢れています。ベンツ、BMW、アウディは高級乗用車市場を支配し、フォルクスワーゲン、フォード、ビュイック、トヨダ、ホンダは中型乗用車市場を制覇しています。しかし、ここ数年、中国の自動車産業は急速に発展してきました。チェリー自動車を例にとって見てみましょう。チェリーシリーズの乗用車は国内市場で高く評価され、海外進出も果たしました。今年の上半期、チェリー自動車の輸出額は全国乗用車輸出の7割以上を占め、40の国と地域に進出しています。また、今年から、チェリーの乗用車エンジンは北アメリカ市場への輸出を果たし、今年の上半期だけで、アメリカに7000個も輸出されました。
これらの業績について、チェリー自動車の李峰副社長は、「ブランド価値の向上は企業の発展に力強い保障を与える」と次のように語りました。
「チェリー自動車は排気量の少ない小型車と、省エネの経済的な乗用車を重点に、ブランド価値の向上を重視し、また高級乗用車の開発にも取り組んでいます。それによって、会社の影響力も次第に大きくなったのです」
チェリーの発展は所在地の安徽省蕪湖市に大きな利益をもたらしました。9年前、チェリーが創業してからこれまでに、230社の自動車関連製品の企業が蕪湖市に設立され、チェリーと提携関係にあります。今年の上半期、チェリー自動車とその関連産業は93億元の生産高をあげ、蕪湖市工業生産高の4割以上を占めています。
製造業だけではなく、中国のハイテク産業も民族ブランドの開発に力を入れています。
1993年に設立された北京華旗情報デジタル科学技術有限公司は、今、中国デジタル業界のリーダーとなっています。華旗が独自に開発したパソコンモニターやフラッシュメモリー、デジタルカメラなどの製品は国内市場で大きなシェアを占めています。華旗の営業額は10年連続して60%以上の伸びを保ち、去年の売上高は20億元近くに達しました。華旗の馮軍総裁は記者のインタビューに答えた際、「優秀なブランドは企業の安定的な発展や利益増加の源であり、国の実力のシンボルでもある。それによって、企業と国のイメージアップを果たしている」と語りました。
「民族ブランドは企業の信用に関わる一方、創業精神や民族のプライドを表しています。国際的なブランドになれる民族ブランドには一つの共通点があります。それは自国の市場を発展の拠点として、まずは自国の国民に優れたサービスを提供し、そして基礎を固めてから国際市場への進出を果たすことです。みんなの努力があれば、13億人の人口を持つわが国では、多くの優れた民族ブランドが生まれるでしょう」
競争が激しくなる市場経済の中、ブランド価値の重要性を認識するだけでは十分ではありません。民族ブランドをアピールして如何にして消費者の心を掴むことが出来るかということが、中国企業が直面する大きな課題となっています。一部の中国企業は国際的に多く使われているやり方で、民族ブランドを保護し発展させる道を歩み始めました。世界最大の中国語検索エンジン、「百度(WWW.BAIDU.COM)」がそのひとつの例です。
百度は2000年に成立した、インターネット検索エンジン専門の会社です。2005年、百度はアメリカのナスダック市場での上場を果たし、上場初日、株価は350%も上がり、1億900万ドルもの資金調達を実現しました。中国のインターネット企業が海外での資金調達の記録を更新したのです。これについて、百度のCEO李彦宏さんは、「上場は企業にとって、資金調達の方法の一つである一方、ブランドをアピールする絶好のチャンスでもある」と語りました。
「投資者に認めてもらえば、企業のブランド価値も高くなります。上場によって、人々の注目を集めることで、企業のイメージアップにもなります。百度は海外での上場によって世界中の投資者の注目を集め、認可をもらい、中国ブランドのイメージアップを果たしたのです」
「Made in China」、「中国製品」はすでに世界中に拡がっています。しかし、それは中国企業の到達目標ではありません。民族ブランドの発展目標について、中国の薄煕来商務相は次のように語りました。
「われわれは中国で生産するということだけでは満足せずに、中国民族ブランドの開発に力を入れたい」(担当:劉叡琳)
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