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経済再生を図る福建省
   2006-09-25 11:41:25    cri
 福建省は中国東南部の沿海地区にあります。20年前、ここは中国で最も早く改革開放を実施した省の一つとして、国の内外から注目を集めました。しかし、1990年代に入ってから、福建省では経済発展の歩みが遅くなり、次第に全国のトップクラスから外れてしまいました。ところが21世紀に入って、福建省は2006年から2010年までの国の第11次五カ年計画の中で、新たに重点地区として位置付けられました。スポットライト、今回は福建省の経済発展についてご紹介します。

 1970年代の末、中国東南部の沿海地区は全国に先立ち、改革開放政策を実施し始めました。台湾海峡を隔てて台湾と向かい合っている上に香港やマカオに近いこともあって、福建省は特別な地理的優位性を持ち、外資による投資の大きな受入れ先となりました。しかし、20年が経ってみると、隣の広東省と比べ、福建省の経済発展はずいぶん立ち遅れてしまいました。2005年、広東省のGDPが2兆1千億元に達したのに対し、福建省のGDPは僅か6500億元で、広東省の3分の1にも及びませんでした。それだけではなく、福建省の得意先であった台湾企業による投資も初めて広東省を下回りました。

 このような厳しい現状について、福建省社会科学研究院の厳正院長は次のように述べました。

 「福建省は台湾に一番近い省ですが、台湾当局の方針によって、人的往来や物的交流が直接出来ず、香港を経由しなければなりません。これは経営コストを大幅に高くしてしまいます。そのため、台湾企業は投資先を広東省に移したのです。また、最近になって、香港やマカオが珠江デルタ地帯に設備の整った工業投資エリアを作りました。さらに90年代後半になると、上海が中国の経済的中心都市としての機能を強化したことから、ほとんどの企業が上海を投資先に選び、福建省に投資する企業はいっそう減ったのです」

 産業の集中度があまり高くなく、インフラ施設の建設が立ち遅れていることも、福建省の経済発展が遅れた大きな原因です。中国各地で投資環境の整備が進んだために、福建省の投資環境はもとの優位性を失い、いろいろな問題点が現れて来たと言えます。

 幸いなことに、台湾海峡の西側にある福建省の整備計画が国の五ヵ年計画に組み込まれました。このため福建省政府はこの地区の港の整備に力を入れています。福建省は全国で2位という3300キロ以上の海岸線を持っています。しかもすぐ隣にある台湾海峡は世界の海運市場でも貨物輸送量が多い黄金の海峡です。現在、福建省では、1万トン、10万トン、30万トンの貨物船が停泊することが出来る水深の深い埠頭を建設しています。今後5年間に、福建省政府は290億元以上の資金を拠出して港の建設に取り組み、2010年になれば、貨物の年間取扱量を3億トン以上にする計画です。

  

 港の建設に合わせて、福建省ではエネルギー、化学工業、物流業などを中心とする現代的な臨海工業地区の建設にも取り組んでいます。福建省港湾管理部門の責任者蔡福勇さんは次のように紹介してくれました。

 「ご存知のように、現代企業にとっては、原材料や人件費のほか、物流コストも重要な要素となります。ほかの輸送方法と比べて、海上輸送のコストが一番安いので、新しい海上交通路の開通は企業のコストを引き下げることが可能です。このため我々は、臨海工業地区や加工貿易地区の建設を進めています」

 2010年までに豊かな臨海資源を活かし、石油化学工業、エネルギー、自動車製造業、船舶製造業などの産業基地を作れば、福建省の臨海工業地区の生産高は、福建省全体の45%以上になると見込まれています。

 港の建設などインフラ施設の整備は台湾企業の投資を呼び込み始めました。現在、台湾の電子情報、生物医薬、精密機械などのハイテク産業が相次いで福建省に進出しています。今年2月、世界第三の液晶モニターの生産企業、台湾の友達(AUオプトロニクス)グループは5億ドルを投資し、福建省アモイ市のハイテク開発区に生産基地を設立しました。これについて、アモイハイテク開発区管理委員会の孫大海副主任は次のように語りました。

 「この生産基地の設立によって、多くの関連企業も進出してくれました。この基地が生産を開始すれば、400億元の利益を上げると予測されますが、その関連企業による生産も200億元から300億元になると見込まれています」

 福建省と台湾の気象条件が似ているため、ハイテク企業のほか、農業関連企業も台湾から福建省に進出しています。福建省南部の漳浦県には「台湾農民創業園」があります。ここでは、ビニールハウスが延々と並び、蘭の栽培が行われています。台湾から来た許慈顔さんは、こで蘭の栽培と販売を始め、栽培面積は最初の3000平方メートルから、今では1万4千平方メートルに広げました。

 「大陸ではまだ伝統的な農業に頼っていますが、台湾では農業生産はすでにハイテクの分野に入っています。生産量を大幅に増やすことが出来なければ、収益も大幅に上げることは出来ないでしょう。大陸が台湾の農業技術を導入して農産物の栽培や生産、加工に取り組むことは、地元の農民に非常に大きな利益をもたらすと思いますよ」

 台湾海峡の西岸にある福建省は、中国でも経済発展が最も活発な長江デルタ地帯と珠江デルタ地帯の間に位置しています。福建省の経済再生を図るには、海峡両岸の協力があげれ、一段と発展のスピードを増すことになるでしょう。そして、この地区の経済発展はきっと両岸の安定と繁栄を促し、新しい交流と発展のチャンスをもたらすでしょう。(担当:劉叡琳)

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