北京のメインストリート・長安街。東西に走るこの道路と二環路(第2環状道路)が交差するところが建国門です。北京空港から高速道路で中心部に向かい、このあたりにたどり着くと、「北京にやってきた」という気分になるものです。一帯はホテルや高層ビルだらけですが、城壁のような古い建築物が唯一残っています。それが、今回紹介する「北京古観象台」、つまり、天文台です。ここに、王玉民博士を訪ね、足跡をたどってみます。
門には、「観象台」のプレートが残っています。北京古観象台は世界でも歴史が古く、明代の1442年に作られたというから564年の時を刻んでいます。しかも1929年までは観測を続けていたといい、同じ地点で観測を続けた施設としては世界最古にあげられるそうです。当時のままの機材を保存、展示して博物館としての役割を果しているのもうなづけます。
城壁のように見えたのが、実は観測台です。高さ14メートル、東西23.9メートル、南北20.4メートルに8基の天体観測器が並んでいます。明代に作られたころは「観星台」と呼ばれ、清代になって「観象台」、その後は、「国立天文陳列館」「北京天文館」などとも称され、1983年から一般広く公開されるようになりました。
建造の目的は、皇帝専用でした。観測台の西側に四合院の建物があり、ここが博物館の展示室になっていますが、入り口には「観象授時」、つまり、「空を見て時を知る」、とでもいうのでしょうか。清の二代目皇帝・康煕帝の書いた額がいまでも残っています。
清の時代にはドイツやギリシャ、フランスからやってきた科学者や宣教師の力を借りて、機器を充実していきました。日時計で時間を測るもの、水時計、月の満ち欠け、星座の位置を探るものなどとりどりで、王玉民博士の紹介では、いまでも十分観測に耐えられる、とのことです。
四合院の庭には、南京に移されている「渾儀」の複製品があります。「渾儀」は太陽や星の動きを探るものです。静かな雰囲気を味わい、観測台にのぼり、近代化が進む北京の町並みを背景に、記念写真をとるのはいかがでしょうか。
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