歴史の都、北京には博物館や記念館がいくつぐらいあるのでしょうか。インターネットで検索し、地図で捜してみました。その結果、170を超す施設が見つかりました。一時閉鎖中や改築中のところもあるようですから、実際はもっと多いかもしれません。多くの特色のあるなかで、今回紹介するのは、古建築をテーマにした博物館、北京古代建築博物館です。建築と名づけた博物館は全国でもここだけです。
この博物館は北京の南、「先農壇」の中にあります。壇とは、古代に祭りや祈りごとなどの行事に使われた台のことです。「天壇公園」は有名ですが、ここは天を祭るところ。となれば、古代建築博物館は農業と関係ありそうです。
1991年9月に一般公開が始まり、原始社会から明・清の時代に至るまでの建築の特色が分かるようになっています。中国は農業大国です。春先には豊作を祈り、秋には収穫に感謝する皇帝の儀式が、この先農壇で行われたのです。明の都は当初、南京にあり、同じような台は「山川壇」と呼ばれたものがありました。北京に都が移ってから、作られたのが先農壇。これに四合院式の建物が一体となっています。
博物館はその建物を利用した形になっています。中心となる太歳殿に入ると、横長の大きな絵が目に入ります。清の雍正帝がたくさんの御つきを従えて、豊作を祈っている図です。
中国建築の特色とされる四合院。四つの建物が庭に面して建てられた様式ですが、北京の胡同でも数が少なくなりました。この博物館に来て、四合院の原型は西周の時代といいますから、今から3000年も前にさかのぼることが分かりました。陝西省で痕跡が見つかっているそうです。
そして、西周の時代に「司工」と呼ばれる、建物の総合プロデューサーがいたことも記録に残っています。後には「工官」という人たちで、設計、施工、材料選びなどすべてに責任を負ったのです。とくに色使いに興味が注がれます。柱や天井に色づけする際、黄色は皇帝の住まいだけに使い、緑色は役所と主要なお寺、天を祭るときに使うのは藍色と厳格に決まっていたのです。
いま、この博物館を訪れる人は年間6,7万人。
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