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屋根の上のもの
   2008-04-29 15:27:27    cri




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 今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。

 この時間は「太平広記」という本から「屋根の上のもの」、「地面から伸びてきた手」、そして「夜の出来事」という三つのお話をご紹介いたしましょう。

 では「屋根の上のもの」

 唐の貞元四年の春、李哲正は常州にて録事参軍という文書を担当する役についており、屋敷は丹陽県の東城にあった。

 ある日、李哲正の屋敷にものが投げ入れられるようになり、夜には屋根から気味の悪い笑い声がきこえたりするので、屋敷内は不安に包まれた。実は屋敷には亜万という遠い親戚にあたるばあさんが住んでいて、夜に一人の異人が屋根から屋敷に入り、庭でいったりきたりしているのを見たという。

 その夜、李哲正が書斎で本を読んでいると、亜万がきて、今さっき、かの異人が一冊の本を盗んでいったという。そこで李哲正が本棚にいくと、大事にしている本が確かになくなっていた。これは大変と思った李哲正は庭に出て天を仰ぎ、どうかその本を返してくれと頼んだ。すると本棚のほうで音がしたのでいってみるとかの本が戻っていた。これに李哲正はかなり不安を覚えた。庭には竹やぶがあり、隠れやすくなっている。そこで李哲正は屋敷の者に庭の竹を全部刈り取らせ、桃の樹を植えたることにした。

 と、次の日、どうしたことか李哲正に手紙が届き、それには「聞くところによるとあんたは庭の竹を刈り取って桃の木を植えるらしいが、いいことをお教えしよう。いま、常州では粟がとても安く、竹を売った金で、沢山粟が買えるぞや。これはもうかるゆえ、早く竹を売りなされ」とあり、差出人の名を見れば、なんと「屋根の上のもの」と書いてある。

 「誰だ?この手紙をよこしたのは?」と李哲正は何のことか分からず不思議がる。当時、李哲正の二人の甥である李士温と李士儒が屋敷に住んでいて、これを知るときっと化け物のいたずらだと思って、屋根に向かって罵り始めた。すると、かぶっていた帽子がどこかに飛んでいってしまったではないか。これに二人は驚き、しばらく考えてから「罵って悪かった。帽子を返してくれ」というと、帽子は戻り、ついでに空中から一枚の紙が舞い降りてきた。みるとそれには「礼儀なき者は偉くなれないが、お前たちが謝ったので、帽子を返してやる」と書いてあった。この二人の兄弟は黙ってうなずきあった。実はこの兄弟は武芸を心得ているので、いつかは化け物を懲らしめようと思ったのだった。

 さて、夏が来た。甥の士温は酒を飲んだあと横になって静かにしていたが、そこは明かりの陰で部屋の戸からははっきり見えない。夜半になって体の大きな男が部屋に入ってきて、明かりの前まで来た。これに驚いた士温は相手が自分に気づいていないと悟ると、起きて飛び跳ね、その大男を捕まえにいった。大男がこれに驚いたとたん、明かりが消え、士温と大男は取っ組み合いとなった。得意の技で士温は必死に攻めたおかげか、相手はあまり反抗しなくなり、そのうちに動かなくなった。不思議に思った士温が明かりをつけてみると、それは大きな瓦で、目、鼻、眉と口などが描かれ、それに人間の服を着せてある。そこで翌朝、士温はこれをもって李哲正に見せたところ、李哲正は怒ってこの瓦を裏庭で木っ端微塵にしてしまった。

 数日後、一人の女子が屋敷に勝手に入ってきて裏庭で大声で泣いた。そして駆けつけた屋敷の者に「どうしてわたしの夫を殺したのだ」とわめく。そこで屋敷のものがこの女子を追い出そうとすると、女子は屋根に上って逃げ回り、追うのをやめるとまた裏庭でわめき続ける。こうして三日目に女子は一通の手紙を残した。それには、「夫殺しの罪で役所に訴えてやる」というのだ。

 その後、女子はやってきては衣類を持っていったり、裏の空き地で飼っているヤギを盗んだり、または庭でいたずらする。これに怒った士儒がこの女子を捕らえようとしたが、どうしてどうして、この女子はなんと士儒とわたり始めた。もちろん、士儒も兄の士温と同じように武術ができるが、なかなか勝負か付かない。そこで士儒は得意の手で相手を倒したところ、何と女子は大きな瓦となっていたので、士儒は怒って瓦を粉々にした。

 と、その翌日、もう一人の女子がどこからか裏庭に来て泣き喚いた。しかし、士儒が強いのを知っているのか、すぐに姿を消した。

 このようなことが一ヶ月も続いたので、李鉄正は引っ越すことを考えた。すると、応接間に一通の手紙が置いてあり、「お前たちが引っ越すことは分かっている。ふん、わしらはもうお前の引越し先に住み着いたわい」とあったので李哲正は驚いた。そこで引越しは後にしてしばらく様子を見ることにした。

 そのうちに、李哲正はかの大男に化けた瓦を壊したときから、親戚が遠い田舎から連れてきた二匹の犬が、あまり餌を食わなくなったことを下男から聞いた。それによると、犬は夜になると庭の陰でくんくんと鳴きながら尻尾を振ってばかりいるという。ほっておくと数日後に二匹とも死んでしまった。どうもおかしいと李哲正が首をかしげていると、その夜に屋根から紙切れが落ちてきて。それには、「使いものだった犬が死んだので、お前の屋敷の様子がわからなくなった」と書いてある。

 「そうだったのか!やはり、この屋敷の瓦の仕業だったのか!」と李哲正は悟り、屋敷にいる犬やネコをすべて田舎に移し、屋根の瓦をきれいに取り替えた。するとどうだろう、屋敷ではおかしなことは起こらなくなった。

 翌年の夏のある日、李哲正は常州の長官の見廻りの供をし、長官はその夜は親戚の屋敷に泊まることになったが、李哲正は大事な仕事を任されていたので、その日に常州にかえることになった。李哲正という叔父が大好きな士温と士儒の甥兄弟がこのことをどうして知ったのか、迎えに来ていた。そこで叔父と二人の甥は馬で夜道をゆき、帰途を急いだ。こうして丹陽県の東城郊外にあるむかしの砦近くに来た。時は夜半、周りは静かだが月が出てあたりの様子がわかる。と、不意に前から黒い大きなものがのっそり、のっそりと近寄ってくるのが見えた。

 これに李哲正はびっくりしたが、二人の甥はとっさに得物である剣を手にし構えた。近寄ってくるもの黒い体で二つの目がぎらぎら光り、大きな口を開けている。これに士温と士儒は馬から飛び降りると、こちらから相手を切りつけた。すると相手の体があまりにも硬いのか、二人の剣は折れてしまい、相手も後ろにひっくり返った。二人は驚いたが、それはなれたもので、力持ちの士温が道端の大きな石をひろい、士儒のほうも太い鉄棒を手にし、相手が起き上がる前に石で殴り、鉄棒で思い切り叩いた。これに相手は面食らったのか逃げようとする。そこで二人は逃がすものかと必死に殴り、叩く。やがて二人がへたへたになるまで続けると、急に何かが壊れる音がして相手は動かなくなった。二人はこれで安心と疲れたとしゃがみこみ、離れたところにいる李哲正に「叔父上、もう大丈夫ですよ」とこちらに来るようにいった。そこで顔をひきつけて李哲正が近寄り、馬を下りて地べたに横になっている黒い大男を見た。実はそれは大きな瓦で、甥たちがいくつにも割っていたのだ。

 翌日、李哲正が仕事を済ませ屋敷に帰ると、二人の甥はニコニコ顔で迎え、一通の手紙を見せた。それには「お前は運がいい。二人の肝っ玉の太い甥がいてね。もうあきらめたよ」とあった。

 そこで差出人を見ると、「瓦」だったとさ。

中国昔話
v 地面から伸びてきた手 2008-04-29 15:27:01
v 夜の出来事 2008-04-29 15:26:44
v (一)「不思議な道士」ー1 2008-04-22 13:49:43
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