そして古里はことを細かくざくろ兄さんに話したあと、驚く兄さんを置いて自分は王宮に向かった。こちら国王は姫がざくろ兄さんに嫁ぐので、民百姓は,その日の行列の妨げにはなってはならず、道の両側でこれを恭しく迎えろというお触れを出した。
さて、その次の日、古里は、怪訝な顔をしている兄さんにおとなしく待っているよう念を押してから、自分はまた王宮に向かった。
で、こちら嫁に行く姫の行列は、銅鑼や太鼓、それにおめでたい調べに送られ、前に兵士たちが歩き、周りに多くの宮女がつきそい、ぞろぞろと王宮を離れた。もちろん後ろからは古里と老いた召使いが馬に乗って付いていく。
こうして途中まできたとき、古里が召使いにいう。
「私は急用を思い出したので、先に行って兄の屋敷で待っておりますぞ!」と馬を走らせて行ってしまった。実は古里は、ざくろ兄さんから話を聞いていたかの賈財という役人の屋敷に入り、キツネに戻って暴れだした。そこで屋敷のものが捕まえようとしていると、かの役人が出てきたので、古里が大声でいう。
「無礼者が!すぐに災いが降ってくるというのにわからんのか!」
これを聞いた役人、キツネが人間の言葉をしゃべりだしたのでびっくり。
「あなたさまは、神でござるか?」
「いかにも。もうすぐ国王のお姫様が嫁ぐ行列がこの屋敷の前を通る」
「そ、それは、お触れを見てわかっておりますが」
「国王は特別にお前に姿を隠すよう命じられた」
「なんですと?」
「信じないのなら、これをみよ」と自分が勝手に作り出したお触書を役人に見せた。
これを見た役人、「では、私はどこに姿を隠せばよいのですか」ときく。
「お前は、腹心と共に、近くの井戸に身を隠すのだ」
そこで役人はかのずる賢い手下と共に、近くの深い井戸に入った。すると古里はその井戸の口をとても重い岩で塞いでしまった。
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