故宮を見学するとき、その正門の午門から入って、北のほうの神武門から出るという一本道を取るのが一般的ですが。景山公園はつまり、出口を出てすぐの道の向こう側にある小さな公園です。景山はその中にある小高い山です。この丘は43メートルあり、そんなに高くないですが、頂上に建てられた万春亭からの眺めは抜群でよく知られています。そこで、故宮の全景を見下ろすことができるほか、周りの景色も一望でき、まさに北京一の展望台といえます。
景山で見た故宮のパノラマ。言葉ではその感動さをうまく言い表せないほどです。梅原龍三郎が描いた「樹海の中の金色の甍(いらか)と赤い壁の楼閣の景観は世界無類潤オ」という紫禁城の展望は、景山公園よりのものでしょう。
この山の東部では、明の時代の最後の皇帝が自殺したこともありますので、明の終結を意味する場所でもあります。町の向こう側に、明と清の繁栄を物語る宮殿の海、また、ラストエンペラーに出た広大な風景なのです。
故宮は北京市の中心部に位置しており、南には天安門、北には景山、東には王府井、また、西には中南海という配置になります。ここは昔紫禁城と呼ばれ、明・清時代の帝王が居住する王宮であり、中国に現存する規模がもっとも大きく、もっとも完全な古代木造建築群です。1987年、「世界遺産リスト」に指定されました。
現在、故宮など古代の建築群を保全するため、市街地の中心部で建物の高さについて、制限があります。ですから、数百年たった今でも、故宮は依然として高く、偉く見えます。リスナーの皆様にとって、北京見物でぜひとも見ていただきたいところなのです。
ここはかつて紫禁城と呼ばれていたが、「紫禁城」の「紫」とは、本来天の中央に位置する紫微垣に由来します。そして、宮殿の門戸が一般市民には「禁」であったことから「禁断の皇宮」という意味から「紫禁城」と呼ぶのです。清王朝が崩壊し、1912年に孫文によって中華民国が成立したときから「昔の皇宮」という意味・・・すなわち「故宮」と呼ばれるようになったそうです。1924年、ラストエンペラーの溥儀が紫禁城から追われ、翌年、故宮博物院が正式に成立しました。
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