ところで、中国の北方の人は餃子が好きでしてね。むかしからこんな言い方があります。「好吃不如餃子、舒服不如躺着」といいます。つまり、うまいものは餃子に及ばず、気持ちよいのは横になるのが一番という意味でしょうか?
これを聞いて、おかしく思う人が言いました。
「この世にうまいものは沢山ある。どうしてうまいものは餃子に及ばすなんだ?」と。
広東の人です。「ふん!新鮮な魚介類がどんなにうまいかを知らないな。それに、広東の飲茶(ヤムチャ)」のときに食べる軽食のどれもこれも餃子よりおいしいな」と。
上海人です。「こちら上海の小篭包(シャオロンパオ)の方が餃子より美味しいに決まってるよ」
四川の人です。「四川の坦々麺とワンタンは餃子よりもうまいわい」とね。
もちろん、四川にも餃子はあります。でも、主食としてではなく、一品のおかずとして出されるのです。日本でもそうでしょうか?それは「鐘水餃」といい、具は肉ばかりで肉団子を包んだようなもの。これを小さなお椀に入れ、甘くて辛いタレをつけて食べます。
しかしいくらいわれても、北方の人は、何が一番おいしいですかと聞かれると、「そりゃあ、餃子に決まってますよ」と多くが答えるのです。
これもおかしくありませんね。それそれの地方にそれぞれのおいしいものがあり、好みも異なりますからね。しかし、北方の人は餃子が好きなんですね。実は餃子の具は何でもいいんです。どんなものでも具にできます。ですから、西北部の西安に「餃子宴」というのかあって、ものすごい種類の餃子を食べます。北方の人は、普段対してものでなくても餃子の具として中に包めばすごくおいしくなると思っているようです。
北方の人は餃子を客に出すことを重く見ており、それは食べるということよりも、客に示すその家の人の気持ちがこもっているということです。
まあ、今ではみんながそう思っているとはいえませんが、昔からそうだったようです。
餃子の話はこれぐらいにしておきましょう。
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