ではここで、先週に続いて料理にまつわるお話です。わたしの大好きな葱のお話で「葱の肉巻き」です。
「葱の肉巻き」
時は清朝のころ。西太后が都から西安に向う途中で沢州というところにたち寄った。そこで地元の長官は、さっそく西太后のために宴を設けた。西太后に地元の十の料理からなる「十大碗」を味わってもらい、西太后の機嫌をとるというわけ。こうして宴が始まり、次から次へと料理が運ばれ、長官は一つの料理が出るごとに必死にそれを紹介する。
「申し上げます。これは地元の特産を使って出来た・・・」などと汗を流してしゃべり続けている。
こうして九番目の料理がでたあと、十番目の料理が出てこない。慌てた長官は横にいた腹心に厨房の様子を見て来いと命じた。
こちら厨房。実は西太后が到着する前日に長官はこれら料理人にしっかりと「十大碗」を作って出すよう命じ、不届きがあった場合はきつく罰すると嚇かしていたので、料理人たちは間違い起こさぬようびくびくしながら料理を作っていたのだ。で、前日からちゃんと下ごしらえしたあった十番目の料理の材料を棚に入れておいたのだが、この朝、一人が寝ぼけて事前に調べなかったので、十番目の料理を作る寸前になって棚を空け、材料がネズミにきれいに食べられていたことがわかった。
さあ大変。長官の腹心がきてみると厨房は大騒ぎ。
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