皆さん、新年あけましておめでとうございます。林涛です。
お正月はいかがお過ごしでしょうか?自宅で静かに元旦を迎えられたり、どこかで日の出を見られたり、または海外旅行に出かけられたりと、それぞれのお正月気分を味わったことでしょう。実は2000年のお正月は、この林涛、東京の浅草で元旦を迎えました。あの時はラジオで世界各国のお正月という生放送があって、浅草から携帯電話を通じて中国語で国内に放送しました。浅草はにぎやかでしたね。12時前になると携帯電話の利用率がピークに達するので、わたしは北京のニュースセンターとすぐには連絡が取れず、あせったものです。それに帰りの高速が混んでしまい、支局に戻ったのが4時だったこと、それから好きな肴で軽くお酒を飲んで少し寝たことを今でもはっきり覚えています。
ところで、今年はイノシシ年。実は、中国国際放送局開局65周年の東京大会に参加するため、去年の12月上旬に日本へいきましてね。時はもちろんお正月前ですから、暇を見て街を歩いていますと、ところどころにイノシシ年の年賀状やイノシシの絵とイノシシを模った人形などを売っていました。それは中国のものとは少し違いましたが、やはり、日本のお正月気分を少し味わうことが出来ましたね。うれしかったですよ。
さて、この時間は、昔の笑い話をお楽しみいただきましょう。
まず最初は明の時代の本「笑府」から「初夢」です。
「初夢」
酒好きな朱さん、元日の夜に好きな肴にありついたので、したたか飲んで寝てしまった。そして夢を見た。朱さんが友達の家で飲んで帰ってくると、家の玄関に上等の酒が置いてあるのを見つけた。
「ありゃ?どこのどなたさまだえ?おいらの留守中にこんなうまい酒をのもってきてくれるなんて。ありがたいねえ?こんな上等の酒はもう何年も口にしていないぜ。そうだ。丁度飲み足りないいところだから、家で燗してゆっくりいただこう」
こうして朱さんはホクホク顔で酒を持って家に入り、徳利に酒を入れてお湯を沸かし、燗し始めた。
「こんな上等の酒だから肴はいらないなあ。ひひひ。ありがたいね」
と朱さんがニコニコ顔でいると、そのときになんと夢から覚めてしまった。
「あれ?なんだい?夢かね。あああ!久しぶりにあんな上等の酒にありつけそうだったのに。くやしいねえ。こんなに早く夢から覚めるんだったら、燗なんかしなくて、そのまま冷でひっかければよかったよ。くやしい!!」
今度も「笑府」から「川という字」です。
「川という字」
牟さんは、読み書きができなく、いろいろ困っていたが、その年の暮れに思い切って塾に通い始め、先生から「川」という字を習った。これからはおいらも文字を知らないと人にいわれなくなったと少し得意になり、酒仲間で同じように読み書き出来ないとなりの申さん呼んできた。
「申さんよ。おいらはもう読み書き出来るんだぜ」
「ほんとかい?牟さん、いつ習ったんだい?それに幾つ字を覚えた?」
「いや、まだ多くはないが、そのうちに申さんにも、教えてやるよ」
「なんだい。はじめたばっかりだというのに、もう威張ってやがる」
「威張ってなんかいねえよ。」
「じゃあ。牟さん、なんという字を習ったんだ?」
「そりゃあ、たくさん習ったよ。中でも川という字は忘れられないねえ」
「川?川って、あの流れる川かい?」
「ああ。流れる川だよ」
「へえ?じゃあ、どんな字が川なんだい?」
「そうよ。で、申さんに見せるため、習字の本をわざわざ買ってきたんだ」
と牟さんは、習字の本を広げた。
「へえー?いろいろ書いてあるけど、どれが川という字なんだい?」
「そう、あせるなよ。今教えてあげるからよ」
こうして牟さんは、習字の本をめくり始めた。が、川という字はなかなか見つからない。
これを横で見ていた申さん、にやっと笑っていう。
「なんだよ。読み書きはじめたなんてうそだったんじゃないのかえ?牟さん」
「うそじゃねえよ」と牟さんはいくらかあせり始めたが、そのうちに一、二、三の三という字をみつけ、少し考えてから言った。
「なんだよ。あったよ。あったよ。ここにあったよ。ええ?仕方がないねえ。川と言う字はこんなところで横になって寝ていやがったよ」
今度は、「笑林」という本からです。「起き上がらなきゃよかった」
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