次は、「笑府・刺俗」という本から「本を出し合い酒を造る」。
甲と乙が一緒に酒を造ることになった。
甲が言う。
「お前は米を出せ、おいらは水を出すから」
これに乙が驚き「ない言ってやがんでえ!米を全部俺が出したら、どうやって分けるんだよ」と聞く
そこで甲は答えた。「安心しな。酒ができたら、その水は俺がもらい、残った米粕は、みんなお前にかえすから!」と。
甲もひどいですね。
さて、最後は「高陽の酒徒」です。「史記・朱建」からです。
レキ食其(レキイキ)は高陽の貧乏学者で、かなりの才能があったという。劉邦が蜂起したので、彼は劉邦に身を寄せようと思い、ある日、劉邦の陣営にきて、門番に言った。
「劉邦殿に告げてくれまいか。高陽の賎民レキ食其がお目にかかり、天下の大事を共に計りたいと」。
そこで門番はこれを劉邦に告げたところ、劉邦は
「来客はどんな身なりをしておった?」
「は、来客は儒家の読書人ようですから、きっと儒家の学者だと思いまするが」
これを聞いた劉邦、急に不機嫌になり、「わしは忙しいから、儒家の人間と会う暇などないといって追い返せ!」と言った。
そこで門番がこの劉邦の言葉を障モ食其に伝えた。
こちらレキ食其、この返事に怒り、剣の柄を握り、「わたしは、高陽の呑み助じゃ。儒家の人間ではないと早く劉邦殿に伝えろ!」と怒鳴った。
門番はこれに驚き、いそいそと劉邦にこれを告げたが、劉邦は丁度足を洗っており、高陽の呑み助が会いたいというので早速、「通せ」と門番に命じた。
こうしてレキ食其は、劉邦に会い、その後はたくさんの策を献上し、劉邦を助けて多くの勝ち戦をしたという。
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