この時間は、中国の酒にまつわる寓話や成語をいくつかご紹介しましょう。
まず最初は「晏子春秋・内篇諫上」という昔の本から「景公の飲酒」
晏子とは晏嬰の尊号で、戦国時代の斉の名臣です。景公の相となり、節倹力行をもって諸侯に知られたということで、この「晏子春秋」は彼の言行を記した書籍です。
斉の国の王である景公は、ひどい酒好きで、飲みだすと七日七晩やめないという。
そこで大夫(たいふ)つまり家老の弦章が諫言した。
「王よ。あなた様は七日七晩も酒をのまれたのですぞ。どうかもうお止めくだされ。さもなくば、わたし目に死を賜りくださいませ」
「なに?死を賜ってほしいとな?ふん!」
弦章の諫言を無視した景公に翌日、晏子が目通りを乞うた。
「なんじゃ晏子か。何か用か?それより太夫の弦章めが。世に諫言しよってのう。大酒を止めろと申し、さもなくば死を賜ってくれといいよるわい。ふふん!で、どうしようかのう?世が大酒やめれば臣下の言うがままになったことになり、もし大酒をやめなくとも、奴を死なせるのは惜しいからのう!困ったワイ」
これを聞いた晏子はこう答えた。
「申し上げます。弦章殿は、あなた様のような君主をもち、まことにしあわせでございます」
「なに?幸せだと申すか?何故じゃ?」
「はい。もし弦章の君主が、かの歴史上の暴君、夏の傑王や殷の紂王でござりますれば、とっくに処刑されておりましょう!はい!」
賢い景公は、これを聞き、酒を飲むのをやめたそうな。
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