こちら虎だが、骨を抜いてもらい、手当てしてもらったので、痛みもかなりとれた。それに、じっとしていろというのでしばらくは、優しいまなざしでその場に伏し、天亮を見つめいていた。しばらくすると天亮の言うとおり、舌の痛みはなくなり、血も止まって口を動かしてもなんともないので大喜び。そして急に人間の言葉で話し出した。
「天亮!ありがとう」
これに天亮はっびっくり。初めて会う虎が、人間の言葉をしゃべり、また自分の名前を知っていたのだから驚くのも当たり前。
呆然としている天亮に虎はいう。
「どうだい。わしらは義兄弟になろうじゃないか」
「え?義兄弟?」
「そうだ。天亮は信用できる人間だからな」
「いいよ。じゃあそうしよう」
こうして天亮はその虎と義兄弟の契りを結んだ。そして、このときから天亮は虎の勧めで、薪が多く取れるという南山湖の近くに行くようになった。そこは景色もよく、大きな森があり草花もいたるところに生え、鳥がさえずり、小さな生き物がたくさんいて仙境のようであった。
とある日、天亮が薪を紐でくくり終わり、近くの小さな岩で一休みし、喉が渇いたので水を飲みながらあたりを見回すと、近くに一個の鳥の卵が落ちているのを見つけた。
「あれ?なんだ?何の鳥の卵かな?どうしてこんなところに?」とその卵を拾いにゆき、そのまわりを一応歩いてみたが、鳥の巣らしいものはなかった。
「どうしよう?う~ん。仕方ないな」と天亮はその卵を大事に懐にしまい、薪を背負って家に帰っていった。
そして天亮はこの卵を綿で包み、夜は布団の中で温めたりして、卵が早く孵るのをまった。そして数日たつと、卵は孵り、小さなヒナが中から出てきたので、天亮はこのヒナを大事に大事に扱い、心を込めて育てた。やがてヒナにはぴかぴか光る羽毛は生えてきたので、天亮と母はびっくり。
「なんと、これは鳳凰だったんだね」
こうしてヒナはすくすく育っていたが、天亮と母は痩せていくばかりであった。そしてある日、立派に成長した鳳凰は不意に話し出した。
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