今週の「カルチャーピックアップ」のコーナーでは、この半世紀の中国の童謡を紹介しました。歌は本当に不思議なものですね。
私には、今時の歌の多くはメロディーが何となく知るように思いますが、どうしても歌詞が自分の心境に合わないので、うまく歌えないとか、いうことがよくあります。しかし、子供のころ覚えた歌は、しっかりと心に焼き付けられたように、今でも時々思わず口ずさみます。(あの時の記憶力がすごいなのかもね…)そして、知らず知らずのうちに、自分が歌に教育されたことがあるかもしれません。
中国では私とほとんど同年代の人はおそらくこんな歌を覚えていると思います。歌の名前は「一銭」です。「道端で一銭を拾った。それを警察に届けた。」というのは歌詞です。一銭というのは中国のお金の一元の100分の1ですが、日本の一円玉ぐらい当たるかな。今なら、1元玉が道端に落ちていても、わざわざ腰を屈めて拾う人があまりいないと思いますが、60年代や70年代には、一銭を拾っても警察に届けたり、学校では小さい消しゴムを拾っても先生に出したりすることが多くありました。
それはなぜでしょうか?1960年代、公務のために殉職した解放軍の兵士の雷鋒(1962年没)という人物がいました。二十年あまりの短い人生で、人々に愛とやさしさを与えました。殉職後は国の指導者たちが「 雷鋒同志に学ぼう」と提唱し、彼の精神が中国人の道徳規範とされました。この「一銭」という歌はちょうどその時代に生まれたものです。人々はその歌に心を動かされ、些細なことでも、人を助けたいという精神がすごくありました。
こんな歌が好きで、それを聞きながら育った人は、たぶん悪事はできない…と私は思います。歌にはこんな力があると信じています。あなたには、どのような忘れられないメロディーがあるのでしょうか。
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