陝西省の民謡と言えば、「陝北民歌」、つまり陝西省北部の民謡が特に有名です。また、その中で、楡林、延安辺りでは、民謡のジャンルの一つ・「信天遊」がはやっています。たしか1986年のことだと思いますが、「信天遊」というタイトルの歌は一夜のうちにといえる程、急に全国ではやりだし、誰でも歌えるようになりました。もちろん、この歌は民謡ではなく流行歌で、民謡・「信天遊」それ自身が歌われています。ちょっとロックの元素が取り入れられたものです。
では、ここで「信天遊」の名曲、「ロバを駆る」をご紹介しましょう。
以前、陝北辺りで暮らしていた人々は貧しくて、男たちは、ロバを駆って、荷物を遠くまで輸送することによって、一家の生計を立てていました。一回の輸送には、少なくとも数十日、多い時は1年以上もかかったそうです。家族の人々は、彼らのことをいつも思い、近くを通る輸送チームに出会うと、いろいろ尋ねてみます。「ロバを駆る」という曲は、若い女の子が、出かけた恋人のことを思い、ながら輸送チームに向って歌ったものです。
「遠くから鈴の音が聞こえる
ラバを駆る人たちがだんだん近づいてくる
おーい!聞こえますかか?私の彼ですか?
そうだったら、手を振っててね
そうでないのなら、このまま行ってしまってもいいわ」
女の子の期待や焦燥、そして失意が十分表現されています。
では、「ロバを駆る」の五つのバージョンで聞いていただきましょう。
まずは、民謡歌手の阿宝のバージョン、同じく民謡歌手の王宏偉のバージョン。
そして、現代風にアレンジしたアイ・シンの歌
吸鉄石グループのバージョン
最後は、新民謡のカップルとして注目されている馮暁泉・曾格格夫婦が歌う「ロバを駆る」です。もとの民謡の一部を使って、新しく作った曲です。
(担当:藍暁芹)
|