「それは怖いだろうな」
「そこにお前さんたちがわしの悲鳴を聞いてこちらに来る音がしたんじゃろう。髑髏の姿が見えんということは、奴はどこかに隠れたな」
「ええ!髑髏がどこかに隠れているって?!」
「そうかもな!」
これを聞いた閔さんの友人たちは、恐ろしくもあり、好奇心をも覚えたのでいう。
「閔さん、閔さんや。その髑髏とやら、あんたこれまで見たことはあるのかね?」
「いや、今日、孫先生から初めて聞いた」
「それじゃ、今日はここにいる人も多いので、その髑髏とはどんなものか確かめようじゃないか」
実はこの騒ぎに閔さんの家族や下男たちも来ていて、この友人の話を聞いた閔さんの母が驚いた!
「な、なにをいうの!そんなことしたら罰があたり、わたしたちはいつ死ぬか知りませんよ。ああ、おそろしい、おそろしい」
これには閔さんも気味が悪くなった。それに親孝行な閔さんのこと、母の言うとおりにし、どこかに隠れている髑髏を探し出すどころか、翌日、人を呼んで、かの離れの部屋を取り壊し、そこに土をつんで築山としてしまった。
で、目玉のある髑髏をみたという孫先生だが、このときから体が震えて止まらず、夜には熱を出し、医師の懸命の手当ての甲斐もなく、明け方にとうとう息を引き取った。また、髑髏を捜そうと言い出した閔さんの友人は、それから三日後に、郊外で腹をえぐられて死んでいたという。
それからというもの誰も離れを壊したあと作ったにその築山には近づかなかったそうな。
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