「その昔の友の沈定蘭ですよ」
「なんだって?!昔の友の沈定蘭?い、いったいどうしてこんなときに死んだはずの友人がわたしを探しにきたんだ?」
「顧さん、驚かしてすまん!」
「しかし・・」
「私の言うことだけはきいてくれ」
「死んだものがわたしに何の用だ?」
顧さんは震えだしていた。
「怖がらないで聞いてくれ。顧さん頼む!」
「わたしに害を加えないだろうな?」
「安心しろ!あんたには悪いことはしない。だから戸を開けてくれ。わたしは生きた人間じゃない。あんたが戸を開けなくてもわたしは中へ入れるのだが、あんたに害を加えたくないからこうして外であんたが戸を開けてくれるまで待っているんだ。」
「わかった!わかった。いま開ける」
こうして顧さんは、恐る恐る戸を開けた。すると外で人の倒れる音がしたので、顧さんがびくびくして部屋の明かりを点け、それをもって外に出で見ると、見えないが倒れた男が行った。
「近寄るな!」
「なんだ?」
「わたしはあんたを騙した」
「なんだと?」
「わたしは沈定蘭ではない」
「じゃあ、誰だ?」
「わたしは今日死んだばかりの李家の主だ。騙して悪かった」
「どうしてわたしの名を知っている?」
「死んだものにはわかる」
「なんだと?そ、それで、李家の主がわたしに何の用だ?」
「わたしは家の財産を狙っている者に毒薬を飲まされて死んだのだ。しかし、奴らはわたしが心の臓の持病で、急に発作を起こして死んだとうそをついている」
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