おじさんや兄さんたち。安心して休みなよ。おいらが見張っててあげるよ。もし、ケチ親父やその手下が見回りにきたら、おいらが鶏の鳴く声を真似るから、みんな起きて働けばいい」
これを聞いた作男たちは喜んだ。
「アバオ。じゃあ頼んだよ」とみんなは安心して寝た。
しばらくして作男たちは目を覚まし、ケチ親父がろくに飯も食わしてくれなく、みんな痩せこけてしまった話となった。
「おい。みんな!こんなことではあと一ヶ月もすると疲れ果て飢え死にしてしまうぜ」
「そうよ。そうだ。」
「何とかしないとだめだ」
「うん。でもな、腹が減ったよ、俺はうまい牛肉の料理がでる宴会に出たいよ」
「なに言ってんだよ。飯も腹いっぱい食えないというのに牛肉料理がでる宴会だって?お前夢みてるんじゃないか?」
この話にアバオも口を挟んだ。
「おじさんたち、宴会というのは豚肉や牛肉をたらふく食えることだろう?」
無邪気なこの問いにみんなは笑い出した。
「アバオ!それは間違いないけど。あのケチ親父は、牛肉料理どころか、牛の毛一本でさえ出してくれないさ」
これを聞いたアバオはしばらく考えて、言い出した。
「ねえ。みんなが心を一つにすれば、おいしい牛肉料理が沢山出る宴会に出られると思うんだけど。」
「なんだ?アバオ。お前に何か言い考えがあるっていうのか?」
「うん」と賢いアバオはかくかくしかじかと自分の計画なるものを言い始めた。これを聞いた作男たち。この少年にこんな知恵があったのかとびっくりしながらもこれに賛成し、翌日、アバオの言うとおりにやることにした。
さて、次の日、アバオと作男たちは、こっそりと包丁や鍋を持っていつもより早く出かけ、山奥でアバオの追ってきた牛の中から太ったのを選んで殺し、鍋を使って牛肉の煮込みを作ってみんなでたらふく食べた。
そしてケチ親父に言い訳するためアバオはお日さまが西に傾き始めたころに、牛の群れを追って屋敷に帰り、牛を檻に入れるとあたふたとケチ親父の寝起きしている母屋へやってきた。
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