中国5都市で行われた女子サッカーW杯。グループ予選最終戦で台風による延期という波乱を経験した中国代表は、見事、決勝トーナメント進出を決め、世界最高峰の舞台でベスト8に名乗りを挙げました。しかし、迎えた準々決勝、武漢で強豪ノルウェーと対戦し、0ー1で惜しくも敗れ、目標のベスト4進出はなりませんでした。守りのミスから奪われた先制点を受け、中国は、選手を入れ替えて、攻勢を強めたものの、ノルウェーの堅い守りを最後まで破れませんでした。
しかし、中盤でのボール回しは、グループ予選の3試合より進歩し、北欧の強豪とも決して見劣りしなかったというのが私の印象です。守りのミスがなければ、決して内容的には悪くはないとは言える試合でした。
現場の応援は非常に熱く、ファンは中国代表の「12人目の選手」と、ある代表チームの監督が言っていましたが、23日の武漢の雰囲気は、日ごろに輪をかけて、ファンの声援が大きく、選手たちにとっては大きな力となりました。試合後、敗れた選手たちは、ファンの期待に答えることできず残念だと、泣きながら語っていました。
大会は、アメリカ、ドイツ、ノルウェー、ブラジル4ヶ国による熱戦が続いています。ベスト4を目標にした中国は、残念ながら、それを果たすことができませんでしたが、大会を通じて、来年の北京五輪のメダルに向け、多くの課題が見つかったといえます。
まず、4試合でFWが1ゴールも挙げていないという結果は、中国の決定力不足を露呈しました。女子サッカー初の外国人監督として招致されたドマンスキー監督は、就任してから、攻撃力アップに力を入れてきましたが、まだ十分な成果は上がっていないといえそうです。
また、中盤とFWとの連携にも課題が残りました。かつて世界のトップレベルにいた中国代表は、中盤のテクニックに絶対的な優位性を誇っていました。しかし今大会では、中盤でのゲームコントロールを放棄して、ロング、もしくはミドルシュートを多用するというパターンが多く見られたように思えます。
4試合で5失点、特にノルウェー戦では完全なミスで失点をしたことから、ディフェンダー陣の経験不足、心理的な弱さも表に出たといえるでしょう。
しかし、中国女子サッカーにとって、本当の本番は来年の北京五輪。ドマンスキー監督がどこまで彼女らを引き上げていけるか、今後も注目していきたいと思います。
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