中国では、春のスポーツというと、まずマラソンを思い浮かべます。3月26日、北京市中心部で、チャイナコム杯2006年北京春季マラソン、そして第12回北京国際マラソン大会が開催されました。北京市民およそ1万人が参加しました。また、今月9日、北京国際駅伝が行われ、史上最多の360チーム、4000人あまりが出場しました。一方、南地方のアモイ市でも、3月25日、国際マラソン大会が行われました。発足して四年間しか経っていない大会ですが、「国際基準」に従って成長しています。

　アモイ市は中国南部の福建省にあり、台湾と一つの海峡を挟んだ場所にあります。気候は穏やかで、年間の平均気温は20度前後、ですからマラソンには最適の気候と言えます。2003年に第一回大会が開かれ、四回目の今年は中国の孫偉偉選手が見事に女子の部優勝。また、男子は鄭海洋選手が中国男子最高記録で3位に入るなど中国勢の頑張りが目立ちました。

　発足から四年、いま、この大会は「国際基準」に従って、世界に認められる大会を目指しています。その中、まず医療体制と交通規制をいかに的確にするかという点です。今年のアモイマラソンのコース沿線には、18の救急ステーションと23の給水所を設置したほか、医療関係者800人が会場に詰め、そして20台の救急車が用意されました。また、治安の面ですが、アモイ警察はコース沿線に4000人以上による警備を敷きました。そのほか、通訳や、案内係など1万5000人を超える人達がボランティアとして参加しました。

　世界規模の大会にするためのハード面はそろったと、次はソフトの面です。今年、アモイ国際マラソンには、中国マラソン界の星、周春秀選手が出場しました。周選手はその2週間前に行われたソウル国際マラソンで、世界ランク11位の成績で優勝しました。また、陸上王国ケニアからは男子歴代7位の成績を持つティタス・ムンジ選手やプコック選手が出場しました。そのムンジ選手は更に、アモイ国際マラソンが誕生して以来、皆勤賞を続けています。この大会について、ムンジ選手は、「アモイ国際マラソンに私を招いてくれたことに感謝したいです。この大会に出場できるのはとても嬉しく思います。私が毎回この大会に出場するのは、何よりもアモイが大好きだからです。アモイの人たちは非常に友好的で暖かい感じがします。だから、毎年、アモイにくるのが楽しみなんです。僕は毎回楽しんでレースをしています」と語りました。

　ところで、アモイ国際マラソンはほかのどこのマラソン大会とも違う特徴があります。それは台湾地区の人から熱い支持を得ているところです。2003年の第一回大会から、台北オリンピック委員会の呉経国主席は毎年必ず自ら台湾代表チームを率いてこの大会に出場します。呉経国氏はこのアモイマラソンを、海峡両岸のスポーツ文化における重要な交流の場と考えています。呉経国主席は次のように述べました。「アモイ国際マラソンは出場者数も年々増えていますし、賞金額もどんどん高くなってきています。国際的知名度も高くなっていて、大会としての規模がかなり拡大してきています。スタートしてわずか4年間ですが、いまでは、国内スポーツに大きな影響をもつ大会に成長しました。マラソンはだれもが楽しめるスポーツなので、人と人とのコミュニケーションの潤滑剤にもなります。今回、私は300にあまりの選手を連れてきましたが、彼らはみな来年も出場したいといっています。今後もこの大会が引き続き行われ、そしてより多くの台湾選手が出場できるようになってほしいと思います。」

　実は、今年、アモイの国際マラソン組織委員会と台北の組織委員会が協力協定を結びました。マラソンを通して、海峡両岸の交流が一層深められ、互いの理解もより深まることが期待されています。これについて、中国陸上協会の王大偉副主席がこう語っていました。「アモイ国際マラソンは4年間で大きな成長振りを見せました。この大会は発足してまだ日が浅いのですが、アモイ市政府の応援と市民の積極的な参加により、大会は毎年成功裡に行われ、今や中国のマラソン競技の中における重要な大会の一つとなっています。アモイ国際マラソンと中国最大の北京国際マラソンとは、それぞれ毎年の春と秋に行われ、またそれぞれ南と北でおこなわれることから、互いに学びあい、ともに成長する良い関係になっていると思います。」

　北京では、毎年、10月にはアジア最大規模の大会、北京国際マラソンが行われます。2008年北京オリンピックに向けて、北と南で大規模な、しかも国際的な大会を開く、ランナーの強化というのはもちろんですが、それをサポートする運営面でのノウハウを備蓄すること、そして何より、一般の市民の「スポーツを楽しみ、自ら支えるという意識を育てることは非常に大切に思われています。（王丹丹）