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翻訳家泉京鹿氏、5年間で中国のベストセラー6冊翻訳(二)
   2007-10-25 10:53:27    cri

 「北京はかけがえのない町です。本当に居心地がいいところです。最初は、中国に住みたいと思ってここに来たのではありませんでした。でも、北京に来たとき、『ここに住んでみたいな』と思ったのです。当時の北京の風景が懐かしく思い出されます。たとえば、第3環状線には立体交差もなく、すごく広い道路でした。日本とは違う、大陸の空気みたいなものを感じました。『ああ、ここに住みたい』と、理由もなく思ったわけです」(泉さん)

 泉さんの話を聞いていて、いまの若者たちに通じる価値観をお持ちなのだなと感じました。つまり、「物事を好きになるのに、理由など要らない」ということです。「好きだから北京に住んでいる」という、非常にシンプルな価値観をお持ちの方なのだな、と思いました。

 では、最後に、泉さんの今後の抱負と、翻訳の仕事を通して日本のみなさんに伝えたいことについてお伺いしました。

 「北京は『人』が非常に面白いんです。いろんな人がいて、それぞれいろんなことを考えています。翻訳も同じだと思います。人が何を考えているのか知りたいですね。だから、たくさんの人に会って、話を聞いて、人の書いた本を読みたいです。あと、毎日いろんな人と中国語で会話していますが、まだ100%聞き取れるわけではないんです。だから、100%聞き取れるようになりたいです。もっと中国語を勉強したいです」(泉さん)

 「私が伝えたいというよりは、今の中国人が何を考えているか、どんなことに感動してどんなことに興味をもっているかを、日本人に知っていただけたらいいなと思います。中国の若い人たちは、日本の本をいろいろ読んでいます。川端康成や谷崎潤一郎といった作品だけでなく、村上春樹や渡辺淳一などの作品は中国でもベストセラーになっていて、いろいろな人が読んでいます。日本のベストセラーが、中国でリアルタイムに翻訳され、いろんな人に愛読されているんです。逆に、日本に伝わっている中国の情報といいますと、政治やビジネスばかり。生活情報や文化に関しては、中国ほどではないと思います。『中国の小説』として選ぶのではなく、ひとつの文化として純粋に楽しめるようになればいいと思います。翻訳を通して、お互いの国への理解が深まればいいなと思います」(泉さん)

 お互いの国を理解するためには、文学をはじめとする文化をお互い発信しあう必要があります。泉さんが中国の現代小説を翻訳し続けているのは、まさにそうした思いからなのだと感じました。(文・写真:任春生)


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