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日本で活躍する中国人・楊 誠光
   2006-07-17 11:15:15    cri

ビジネスで得た資金で 中国の文化事業に尽力

楊 誠光・株式会社ベセス代表取締役社長 

 1955年遼寧省生まれ。77年に大連外国語学院卒業後、85年まで中国建築材料工業部に勤務。ミサワホーム(株)、(株)ニチイに勤務後、90年(株)ベセス設立。92年沈陽倍思餐飲有限公司設立、93年大連倍港房地産有限公司設立、95年北京倍思商貿有限公司設立、97年上海倍思衛生用品有限公司設立。

 日本企業に勤務した経験を活かし、90年に(株)ベセスを設立した楊誠光さん。中国にもつぎつぎと会社を設立し、使い捨て手袋の製造・販売から不動産管理まで幅広い事業を展開している。そんな楊さんに日本でビジネスを成功させる秘ケツと中国での文化事業への取り組みなどについて聞いてみた。

 取材に当たったのは、張国清・北京放送東京支局長です。この取材内容は日本東方通信社の編纂による週間雑誌「コロンブス」2005年4月号に掲載されています。

日中を往き来して 独自のビジネスを創出

 張国清:北京放送東京支局長 楊さんは25年以上にわたり、日本と中国を往き来しているということですが、初めて来日したのはいつですか。

 楊誠光:(株)ベセス代表取締役社長 中国建築材料工業部に勤めていた80年に、出張で日本を訪れたのが最初になります。その後もたびたび来日し、長期で半年ほど滞在しました。

 張:日本語を勉強しはじめたキッカケをお聞かせください。

 楊:実は、たまたま日本語の勉強をススメられたからなんです。今思えば、運が良かったのかも。

 張:85年に、日本のミサワホーム(株)に入社し、同時に早稲田大学大学院にも入学したんですね。

 楊:北京の「光明公寓」(日本人向けの高級住宅)を開発するプロジェクトなどで会社から表彰され、仕事をしながら大学院の商学研究科に在籍することが認められたのです。

 張:その後も、(株)ニチイに転職するなど、日本企業でさまざまな仕事を経験していますね。日本人と中国人の仕事の取り組み方に違いを感じましたか。

 楊:日本人は中国人より労働意欲があると思います。ミサワホームの国際事業室に勤めていたとき、プレゼンテーションの準備のために、全員が泊まり込んで仕事に打ち込んでいました。その姿を見て、ホントウに感心しました。

 張:楊さんは90年に(株)ベセスを設立し、起業しましたが、独立を決意した理由を教えてください。

 楊:日本企業で働いていれば、給料が高いので、安定した生活が送れます。ですが、私には何かをしたいという強い気持ちがあったので、たんに安定した環境に落ち着くのが不安だったんです。というわけで、自分で会社を設立して、母国を応援したいと考えるようになったんです。

 張:起業精神と中国への愛国心がベセスの設立につながったのですね。ところで、ベセスではどのような事業を行っているのですか。

 楊:中心となる事業は、上海の工場で製造した使い捨て手袋を日本に輸出することです。主に食品加工工場向けに販売しています。年商は2億円です。

 張:会社を経営するにあたって、苦労したことはありますか。

 楊:会社を設立した当初は、銀行はまったく相手にしてくれませんでした。また、医療機器を輸出する際に、同じ船に積まれた別の会社の商品が検閲に引っかかって、結局、商品や資金を回収できなかったこともありました。さらに、取引先の会社が何度も不渡手形を出して倒産してしまい、1億7000万円の損害を被ったこともあります。

 張:手袋のほかにはどのような事業を展開していますか。

 楊:たとえば、大連の会社では不動産管理も手がけています。米国から別荘を輸入して建て、外国の駐在員などを対象に賃貸しています。また、沈陽では、6000平方?のオフィスビルを貸し出しています。現在、日本で1社、中国で4社の企業を経営しています、5社全体で年商は9億円になります。

 張:日中を股にかけて、幅広いビジネスを成功させていますね。とくに、日本でビジネスを成功させる秘ケツはありますか。楊 何よりも品質を高め、顧客の信用を得ることです。そして、中国のように急いで販売に走る必要はありません。日本では、真心を込めてビジネスをすることが一番大切だと感じています。

文化事業を通じて 若者の意欲を高めたい

 張:ビジネスで成功したし金をもとに、中国のために行っている事業があると聞いていますが。

 楊:3年前から文化事業に取り組んでいます。具体的には、国家博物院と共同で、北京で古代エジプト国宝展や古代ギリシャ国宝展、古代ローマ国宝展などを開催してきました。

 また、海南省の三亜で、「海南伝説」という少数民族のリー族の舞踊ショーも開きました。素晴らしい伝統文化をたくさんの人に伝えることができたと自負しています。

 張:今後、そうした文化事業をどのように進めていくのですか。

 楊:3年前、江蘇省文化局の副局長さんと「中国は経済的には豊かになりつつあるが、精神面が貧しくなりつつある」ということで意気投合しました。そこで、江蘇省の演芸集団(歌舞劇院、崑劇院、京劇院など、国家直属の江蘇省内の一級劇団をまとめた団体で、劇場や出版社なども経営している)などと共同で、南京市江寧区の文化産業パークに出資して、中国の文化向上に貢献していく予定です。

 張:楊さんの仕事にかける情熱には感服します。そのパワーの源は何なのでしょうか。

 楊:私は根っからの仕事好きなんです。また「何があってもクヨクヨしない」という、前向きな性格も奏功していると思います。

 張:日本で勉強している中国の若い留学生たちに、伝えたいことはありますか。

 楊:中国の今を表現するなら「浮躁」(フウゾウ)という言葉がピッタリかもしれません。「浮躁」とは、イライラして落ち着かない様子のことです。これは、文化大革命以後、拝金主義が広がり、人々が心を失った結果だと思います。これに対して日本は、世界で4分の1の特許を有していることでも明らかですが、技術力というシッカリとした地盤があります。しかも、日本人は真面目で責任感がある。だから中国の若者には日本人の仕事ぶりを勉強して、おおいに身につけてほしい。日本で2~3年頑張れば、中国に戻って、どこで仕事をしても通用するハズです。

 張:これからも、日本を拠点としてビジネスを展開していく予定ですか。

 楊:もちろんそのつもりです。最近になって、大学3年生の子どもが、永住権取得の申請をしました。また、姉、姉の娘、妹など、私の家族はほとんどが日本で暮らしています。中国の文化の発展に寄与しながら、生活とビジネスの拠点は日本に置くつもりです。

 張:ますますのご活躍をお祈りしています。

kokusei
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