2018年第37回香港電影金像奨特集
今年で37回目の授賞式を迎える、香港版アカデミー賞とも呼ばれる香港電影金像奨。このほど、そのノミネート作品が発表されました。今回の『映画のキャッチコピーに学ぶ』は、同賞で注目される3本のノミネート作品にスポットを当ててお送りします。
キャッチコピー①:国恨家仇何时休(guó hèn jiā chóu hé shí xiū)
日本語訳:屈辱の歴史は、いつまで続くのか
こちらは昨年7月1日に公開された香港の名監督、許鞍華(アン・ホイ)の最新作『明月幾時有(Our Time Will Come)』のキャッチコピーです。1940年代の香港を舞台に、実在の女性「方姑」率いる有志達が旧日本軍の侵略から民衆を守る歴史を再現したもので、今回の金像奨の主要11部門にノミネートされ、最大の注目作となっています。主演は周迅(ジョウ・シュン)や彭于晏(エディ・ポン)、霍建華(ウォレス・フォ)などオールスターキャストとなっており、日本からは永瀬正敏が出演しているほか、久石譲が音楽を担当。許鞍華(アン・ホイ)映画に久石譲の音楽が起用されるのは今作で2回目です。「国恨家仇」とは、国土を侵略された屈辱の歴史のことで、昨年中国社会でブームとなった「家国情懐」(正義感や結束力、愛国心などを強く思う気持ち)を高揚させた作品でした。
キャッチコピー②:她相信一辈子,我相信一句话,你只相信一刹那。(tā xiāng xìn yī bèi zi,wǒxiāng xìn yī jù huà,nǐ zhǐ xiāng xìn yī chà nà)
日本語訳:彼女が信じた一生、私が信じたあの言葉、貴方が信じたのはただあのときの一瞬。
これは今年の金像奨9部門にノミネートされた話題作『相愛相親(Love Education)』のキャッチコピー。本作は歌手・女優・映画監督として中華圏で活躍中の張艾嘉(シルヴィア・チャン)が2015年の『念念』以来2年ぶりに監督を務めた作品。張艾嘉自身が主演を務めており、家族の絆をテーマに一家3世代の女性3人のラブストーリーを描いています。「她(彼女)」「我(わたし)」「你(あなた)」とは、その3人の女性のことで、それぞれの人生の信条を表現し、それぞれの運命を投影したコピーとなっています。
キャッチコピー③:杀戮有时 救赎有时(shā lù yǒu shí jiù shúyǒu shí)
日本語訳:殺戮があった。贖罪の時は、必ず訪れる。
こちらは、同じく金像奨の9部門にノミネートされた話題作『殺破狼•貪狼(Paradox)』のキャッチコピーです。2005年に公開された『SPL/狼よ静かに死ね(原題:殺破狼)』の12年越しの続編として期待された今作は昨年8月に中国で公開され、古天楽(ルイス・クー)演じる香港の警察官が、行方不明となった娘を探すためタイへ赴き、臓器売買を行う犯罪組織と激しいバトルを繰り広げるストーリーとなっています。有时(有時)とは、中国語でよく使われる副詞の「時々」「時折」ではなく、ここでは述語としての使い方で、「事件が発生した」または「これから必ず発生する」という意味の文語表現です。
(ミン・イヒョウ、謙)
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