中国側の態度の強硬さ、反応の迅速さ、決定の玄人度合いは多くの人々の予想を上回るものとなりました。これまでの米国の貿易摩擦史を振り返っても、今回の中国側の反応は米国側のこれまでのどの相手国も繰り出さなかった類のものと言えるでしょう。
第一に、中国の強硬さは、西欧諸国にしても、日本にしても、これまで米国との貿易摩擦に巻き込まれた国々にはなかったものです。これまでの相手国はこうした直接の反撃措置を打ち出すことはめったにありませんでした。
第二に、今回中国側が報復措置を打ち出した素速さは非常に珍しいものです。この動きは、米国の裏をかき、ある程度の衝撃を米国側に与えたとみられます。
第三に、中国側の高度の専門性の目立つ報復措置は、相手国を困惑させるでしょう。、今回の報復措置は、米国側の弱みに焦点を当てたものとなっています。大豆にしても、自動車や飛行機にしても、いずれも米国側にとって優位性のある業界で、中国もこれらの製品を必要としており、これらの分野に手を出すことはないだろうと米国側は考えていたことでしょう。
市場は最も賢いものです。中国側の報復措置が発表されるやいなや、その衝撃は米株市場を直撃しました。米の三大株価指数先物は寄り付きから下落し、中でもダウ指数は2%の下げを見せ、8000億ドル相当の市場価値が吹き飛ぶ可能性すら現れました。
資本市場で最も重要なのは自信です。ちょっとした不注意でバタフライ・エフェクトを引き起こし、大きな金融リスクを招く恐れがあることは歴史が示しています。そこで、米国政府は先物の寄り付きを待たずに相次いでコメントを発表し、市場の安定を図ろうと試みました。
この動きはまず、トランプ米大統領から始まりました。トランプ大統領は朝、ツィッターアカウントで「中国と貿易戦を繰り広げるつもりはない。米国を代表していた愚かな政客のせいで貿易戦争では数年前とっくに負けてしまっている」とツイートし、市場の反応にブレーキをかけました。続いて、ロス米商務長官が、「ウォール・ストリートの貿易摩擦に対する反応は想定外なもので、中国とは最終的に協議によって問題解決する可能性もある。中米貿易摩擦は『第三次世界大戦』にはならない」とのコメントを発表、さらに続いて、就任したばかりのラリー・クドロー米大統領上級経済顧問も「米株市場の反応はいきすぎだ」とコメントしました。その一方、米セントルイス連邦準備銀行のジェームズ・ブラード総裁も「金利を引き上げる必要はない」と、通貨政策の緩和の継続を示唆し、米株市場は小幅に上昇してなんとか取引を終えました。
太平洋の両岸で起こっていたスリリングな一日は、こうして暮れていきました。米国はこの動きを通じて、中米貿易摩擦の駆け引きにおいて、より慎重に自らの立場を考えなければならなくなったと言えるでしょう。なにより、もしも本当に貿易戦争が巻き起こされた場合、悪夢は現実のものとならざるを得ないのですから。(Lin、む)
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