1990年代までは、水害による土砂の流失が深刻でした。流失面積は一時、県全体の面積の90%を超え、黄河の上流~中流域でも特に著しい被害を受けていました。地元では「晴れの日は黄砂が舞い、雨の日は洪水が山を上る」との言い伝えがありました。
1998年、地元政府は全国に先駆けて、耕地を緑化する事業を始めました。山を閉鎖して放牧を禁じ、収量の悪い山あいの畑の利用をすべて取りやめました。一方で、ヒツジの飼育に力を入れ始め、飼育が容易で価値の高いモンゴル種の綿羊を飼育するようになりました。その後まもなく、耕地の緑化事業が国から打ち出され、約7アール分の畑作を放棄すれば補助金160元が支給されることになりました。
呉起県では今年の1月現在、耕地から造林された面積が約1600万アールに達し、国からの補助金はあわせて約19億元となりました。耕地の緑化を果たした地区のうち、最も早く行動し、実行面積も最大で、利益も多い県となりました。さらに生態環境も改善され、土砂の流失も抑えられて水害が減少しました。そして地域の経済体制も改善しています。ここ数年、状況に応じた森林の区分け利用が進み、牧畜や果物の栽培といった有力な分野に力を入れています。
呉起県では一昨年、農家の1人当たりの収入が約11500元となり、1997年より1万元以上増えました。
地元政府は今後数年間、歴史や自然、民俗などを中心とした観光業に取り組む予定であり、農家で新たな収入源が生まれることが期待されます。(朱 森)
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