日本人形アニメーションの父とされ、新中国のアニメーション制作にも多大なる貢献をしたアニメーション作家、持永只仁(1919‐1999)の自伝が、中国電影出版社から翻訳、出版されました(中国語題『持永只仁先生伝記』、翻訳:陳祖蓓)。
この本は、持永氏が1997年に上海を訪問した際、元同僚だった上海美術映画製片廠の特偉元廠長の提案を受入れて書きおろし、死後7年後の2006年に、両国の弟子、元同僚、アニメーション映画評論家らによる記念文と共に、東方書店から出版されたものです。原題は『アニメーション日中交流記 持永只仁自伝』。
持永只仁氏は1940年代初頭から日本でアニメーション映画制作に携わり、1945年5月に家族と共に中国東北部に渡航。日本が敗戦後、「方明」という中国名で、新中国成立前の1946年から53年まで、そして1980年代始めからという2つの時期にわたって、中国でアニメーション映画の制作や人材育成に携わっていました。中でも、北京電影学院の招へいで1985年9月から1986年7月までの一年間は、当時同大学の2年生で、中国唯一のアニメーション専攻クラスの学生13人にアニメーション制作の基礎を教えていました。
当時の教え子で、現在同学院副院長の孫立軍氏は序文で「持永先生の和気藹々で、謙虚な人となりと共に、仕事に対しては恐れるべき厳しい姿勢が、僕の心の奥深くに刻まれており、後日、アニメーターになった僕の手本になっている」と敬意を表しました。
2017年持永只仁奨学金授与式の様子、左1が持永伯子さん
なお、北京映画学院では、2001年から毎年授与される「動画学院奨」の中に、「持永只仁」で命名した奨学金を設けました。教え子らが恩師の中国アニメーションに果たした功績を伝え、在学生を激励するため、共同出資して設立されたものです。今年の、11月4日にも同奨学金の授与式が行われ、去年に続いて、持永氏の長女伯子さんは日本から招かれ、プレゼンテーターとして登壇しました。
同大学筋によりますと、「人形アニメーション作家 持永只仁」展が今年、日本の国立フィルムセンターで開催されたのに続いて、2018年には同大学における持永只仁記念展の開催に向け、準備を進めている最中だということです。(取材:王小燕)
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