中国内陸部の河南省洛陽市の三大名物と言えば、牡丹、龍門石窟、そして水席が挙げられる。これを「洛陽3絶品」と呼び、地元の人は賞賛する。
水席とは洛陽に1000年以上にわたり伝わる独特の料理。中国では一般にテーブルに料理や酒を準備してから宴会が始まるが、洛陽ではフランス料理のように料理を一皿食べ終わらないうちに次の料理を出す。これが水席と呼ばれるようになった。その訳は、水の流水のように次々と料理が運ばれるためだ。洛陽の水席には24種類の料理があるが、すべての料理はスープを用いた水分たっぷりの料理である。これは洛陽は乾燥が強く、水分を多く摂る必要があるためと、食材が少なかったので水で量を増やして食べたという3説がある。
さて、水席は唐代に始まった。当時、洛陽にはお寺参りをする人々が多く、寺院の僧侶が参拝客をもてなすために、精進料理の水席を考案した。後に民間にも伝わり、今日までこれが受け継がれたという。
洛陽の水席は、奇をてらったタイプの料理ではなく、素材の持ち味と、繊細な調理がその魅力と言える。食材には、鶏、豚、牛、魚、キノコ、芋類、野菜、山菜、朝鮮人参、フカヒレなどあらゆるものが使われている。そして料理の種類は材料次第で無数にある。それらの成分が融合して、舌で感じる味覚は格別である。水席は"料理の桃源郷"と言っても良い。
|