 山東料理と一言でいっても、孔子の古里、曲阜、山東省の省都済南、沿岸の山東東部と各地で異なる特色を持つ料理の体系をつくっています。曲阜一帯は、河の幸と乾物を使った料理を特徴として、山東料理の基盤を作り上げたものとして、注目されます。
済南の料理もそれなりの特徴をもち、家庭用の野菜やお豆腐など極普通の材料で山東料理のスープが一つの特徴といえましょう。スープには、「清湯」、「奶湯」の二つのスープがあり、この二つのどっちつかずというスープはタブーとされています。「清湯」は強火で煮て、主な材料の味がスープにしみこむまで煮ますが、スープはあくまでも、お碗に入れると、底がよく見えなければなりません。いうのは簡単ですが、実際に家庭でつくるスープは、中途半端なものになるのが普通でしょう。これも、火加減がこつです。山東料理の一つの特徴をなすスープは、済南によって代表されます。
 山東東部の煙台、青島も一つの体系をなし、海鮮料理を持ってその特徴をなしています。味つけも薄いし、強火でさっと炒めたり、蒸したりして、元の新鮮な味が逃げないよう工夫するのが、山東東部の料理です。
曲阜や済南に比べて歴史が浅いせいか、山東料理というと、味つけが軽い、海鮮料理の東部の料理が、頭に浮かんできません。そんなわけで、北京で山東料理と名を打つ料理店では、山東東部の海鮮料理は含まれず、味付けの濃いネギの辛味を特徴とする曲阜、済南の料理が主体で山東東部の日本の人の口にあった料理は影をひそめています。
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