青海省の中心都市西寧や青海湖の近くに湟源県があります。湟源県に伝わる独特な民間芸術品は2005年に中国で初めての国家無形文化財に指定されました。それが湟源排灯です。
湟源排灯は多くの灯からなる色々な形の灯のユニットですが、それぞれの灯も独立した芸術品になります。灯りの入った大型のスクリーンや立体の表面に色鮮やかな絵が描かれていて、それが灯りで浮かび上がっているように見えます。日本の青森県のねぶたを小型にしたような感じがします。
湟源排灯が最初にできたのは清の時代の中ごろで、200年以上の歴史があります。各地から湟源にやって来た商売人は夜にお客さんを呼ぶために、店の看板を灯で作って、目立つようにしていました。その後、これらの看板の競い合いがエスカレートして、形や大きさが工夫され、台座、模様、形が多種多様な排灯が作られるようになりました。とうとう、道を跨ぐような大きな排灯までできたのです。始まりは商店街のネオンサインのようなものだったと言えるでしょう。
湟源排灯を作るには、まず、枠を作ります。枠で作られる排灯は、壁などに懸ける平らなものと柱のようなスタンド式のものの二つのパターンがあります。その形は、梅の花、長方形、扇子など十数種類のタイプがあります。さらに、伝統的な模様を木の枠に刻みます。
その枠ができてから、その上に紗を被せます。枠の形によって、地元の人が好きな物語や風習、有名人などを表す画を描きます。
お正月の十五日夜、湟源県の街は、色とりどりの排灯の光が入り乱れます。今年の暦の正月十五日は3月4日で、この日、青海省の省都、西寧市で第一回湟源排灯芸術祭が行われました。開幕式の夜、長さ2メートル、高さ60センチの、四百基を超える湟源排灯に一斉に灯りが点って、観光客は夢の世界にいるような錯覚を感じるほどでした。
今年の湟源排灯芸術祭では、排灯は伝統的な技術をありのままの形で残しただけでなく、電気、光、音などの技術と新素材も使われました。また、模様もさらに豊富多彩になって、絵のほかに、中国の伝統的な刺繍、影絵、切り紙などの芸術も取り入れていました。
湟源県は排灯を研究、開発する会社をこのほど設立して、資料の収集と整理、職人の養成、保護と革新に努めることになりました。湟源県の馬玉英県知事は「湟源排灯は多くの文化を凝縮した芸術である。世界各国の友人が青海省の湟源で排灯を見て、湟源の民間文化や芸術を調べることを歓迎する」とアピールしています。
{耳より情報}
湟源県は、夏の一番暑い時期でも平均気温が13℃ぐらいの涼しい場所で、避暑地としてもお勧めです。春節期間中に行けば、排灯芸術祭が見られます。ほかに時期に行っても、排灯の作り方や小型展示会が見学できます。
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