世界の飲茶は広東料理の覇者である。アルコールではなくに豊富な中国茶から選んだ銘茶と共に頂く午餐だ。肉、海産物、野菜を餡にして小麦粉や澱粉の練り物でくるみ、蒸篭で蒸す。蒸しあがると食欲をそそる香りが漂うのだ。小籠包で高名な北京市東城区の漁陽飯店近くにある鼎泰豊(ヂエン タイ フォン)北京店に、週末の午後、吸い込まれるように扉を開けた。
ある土曜日の午後。店内はすでに満席。席が空くまでレジ近くのいす席で待機。20分ほどで窓側の席に案内される。中国語、日本語、英語のメニューに眼を通し名物「小籠包」をオーダー。ジャスミン茶で、蒸し立ての小籠包を口に運ぶ。まず歯で少し噛み肉汁を舌先で味わう。その後に餡を噛みしめる。餡、肉汁、包皮が口内で、その旨味が広がるのだ。海老肉焼売、甘党の方には餡入り小籠包もお勧め。
この鼎泰豊の創始者は楊秉彜(ヤン・ビンイ)氏は、1927年中国山西省生まれ。中国では第二次世界大戦が終結し、故郷を後にした楊は、親戚や友人を頼りつつ、まず北京に向かう。そして北京、天津、青島を流浪して、1948年『花蓮丸』で台湾の基隆港に到着する。台湾に渡った時には単身、着の身着のままだったという。生活を立てるために食用油の配達係として働くことになった彼に、転機が訪れたのは、小籠包の売り子になった時とか。
「顧客を大切に」は彼の人生訓。誠実一路の商売を続け、『鼎泰豊』は次第に世に知れ渡るようになっていった。
台湾で鼎泰豊の1号店を開店し、今日の世界の鼎泰豊に導いた。サクセスストーリーの主楊秉彜、世界的にチェーン店を経営するオーナーとなった。日本では高島屋系に数店のチェーン店を持つ。 (撮影・文:阿部 仁)
住所:
100027北京市東城區胡家園22號迤北樓(漁陽飯店西北角)
電話:(010)6462ー4502
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