今回は、広く親しまれている「剪紙(せんし)」・中国の切り紙についてお伝えします。
切り紙は、色のついた紙にハサミなどを使って、さまざまな模様を切りとっていくものです。この起源は、今から1500年ほど前までさかのぼるといわれ、その後農村に住む女性が「花嫁修業のひとつ」として作り、発展していきました。窓や天井、灯籠などに貼られて装飾品として室内を彩るようになり、特に旧正月には年画と共に新年の飾りとして用いられるようになっています。
この切り紙は、広大な大地、多くの民族が暮らす中国においては、作風も地方によって大分異なります。単純に北方と南方に大きく分けると、北方は大胆で素朴、南方はリアルで繊細なものが多いとされています。また、カラフルに染色されたものなど、さまざまです。題材も、神話、伝説、歴史の物語、人、動物、虫、草、花、鳥などさまざま。農家の女性たちが作ってきた作品には,彼女たちの希望や理想、自然に対する感性など、さまざまなものを感じとることができます。
この伝統手工業・切り絵に魅せられた女性・大阪出身の上河内美和さんは(かみこうち・みわ)さんは、毎週末師匠のもとをたずね、切り絵の世界に没頭しています。
上河内さんは、もともと大阪の広告デザイン会社に勤めていました。しかし毎日の忙しさに追われ、自分で創作したいという思いが徐々に薄れていったそうです。そこで以前から興味のあった中国語の勉強をはじめたところ、切り紙の存在を知り、徐々に実際本場中国で学んでみたいと考え、昨年3月には一大決心、日本での仕事を辞め、北京にやってきました。
「切り紙は、はさみと紙さえあれば誰でもできますが、それだけに大変奥が深いものです。切り紙は元々素朴でほっとするするような魅力がありますが、最近はお土産として販売されるため機械化が進んだり、逆に数千元もするような芸術作品として扱われたりと、少し趣が変わってきています。自分で切り紙を作る人も減っていますが、中国経済が発展していけばいくほど今後文化的な部分に光が当たるはずです。今後 切り紙は、手軽でだれにでも作れるものとして、もう一度多くの人に受け入れられるのではないでしょうか。そして私も日本の人にその魅力を伝えていきたいと思います」と話してくれました。
上河内さんの師匠でもある女流切り絵作家・リュウレンさんが開いた博物館は、地下鉄2号線・西単駅から徒歩10分ほどの場所にあります。北京の伝統的家屋・四合院を改装したこの場所で、中国伝統の切り紙を見ながら、ゆったりとした時間をすごしてみてはいかがでしょうか
「リュウレン剪紙屋」
北京市西城区新文化街受水川胡同16号
010-6601-1946 毎週土・日曜 午前9:30~午後5時 入場料は10元です
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