北京は満開の(1)バラが庭や高速道路の隔離フェンスを飾るようになりました。皆さんのところはどんな花が咲いているでしょうか。
さて、皆さんは電車やバスに長時間乗る場合、(2)暇つぶしのために何か工夫していますか。私としてはたまにはテープを聴いたり、新聞を読んでいたりしていますが、大抵の場合何もしていません。でも、この間(3)地下鉄に乗りますと、(4)編み物をしている40代の女性を見かけました。丸められた褐色の毛糸を編みもの針でズボンのようなものを編んでいました。
隣の席にちょうど(5)空いていたので、私は座ってしばらくその素早く動いている(6)手先を見ていました。私も小さいときに大人の真似をして自分でも何かを編もうと、よく挑戦しました。たとえ(7)ジョッキ一枚でも3分の1のところで編むのをあきらめてしまい、今まで完成品になったものは一枚もありません。私は同じ世代ではまれに見る(8)不器用な女性かしら。現在安くてデザインもよい(9)既製品が多く、(10)手作りする若者は殆どいないようで、この手編みの姿はとても珍しい都市の風景と言えるでしょう。
しばらく見ながら、いつ完成しますかと尋ねたところ、この女性は微笑みながら、「別にいつまでに完成させようと思っていませんよ、暇つぶしだから」と答え、「息子が大学へ入り、家の中は夫婦二人きりになると(11)急に静かになりました。この間(12)大掃除したら20年ぐらい前に買っておいた毛糸が出てきたので、もったいないと思って(13)ズボンを編み始めたのよ」と話しました。「毛糸の質は今よりずっといいですよ」と付け加えました。この女性は、通勤に一時間かかるし、仕事の出張で待たされる時間も多いので、編み物をし始めたと編みながらおしゃべりを続けました。痩せていて、肩までの(14)ストレート髪に花柄のブラウス、ひと目で見ますと、今風なのに、毛糸編みを楽しむ(15)古風な一面があります。そのためか、話しているうちに、暖かさが伝わってきました。駅に着いたので、私は降りましたが、これからもこの女性はご主人や、息子さんのために編み物を続けるのではないか考えながら会社へ向かいました。
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