「世界的な視野で日中関係を考えなくてはならない」
ーー新日中21世紀委員会日本側首席委員小林陽太郎インタビュー
元富士ゼロックス株式会社代表取締役会長の小林陽太郎氏は日本のエリート企業人として欧米社会と同時に、中国にも精通している方です。氏は日米の経済交流で重要な役割を果たしていましたが、現在は、中日間のハイレベルの交流の第一線で活躍しています。今日のこの時間は、小林陽太郎氏へのインタビューをお届けします。インタビュアーはCRI東京支局の張国清記者と傅穎記者です。
小林氏が中国との交流は20年前、富士ゼロックス株式会社の中国進出から始まったものです。1995年1月3日、富士ゼロックス(中国)株式会社が設立されました。80年代の中国は、計画経済から市場経済への転換期にあり、中国の企業が経営の経験や理念の上では富士ゼロックスのような国際企業との差が大きかったことは いうまでもありません。しかし、小林氏は、「中国の経済発展の過程は中国人が自信をつける過程でもある」として、中国人の理念や方法がこの過程をより活力に満ちたものにすると考えているようです。
イギリスのロンドンで生まれ、アメリカのペンシルベニア大学に留学、日米合弁企業に勤め、また、日米経済協会会長を長く勤めた経験をお持ちの小林氏が日本の欧米派企業家の代表になるのは当然と言えます。しかし、2003年には新日中21世紀委員会の日本側首席代表になりました。その理由というのが、小林氏は90年代の初め、アメリカのスタンフォード大学で日本の「再アジア化」という考えを提言したからです。
「これからの日本の進路は、『脱亜』ではなく、『再アジア化』だと思います。『再アジア化』の意味は、中国を含めて、韓国とも、ほかのアジア国とも、やっぱりアジアの中で広い意味での日本の位置づけを明確にしなければならないと思います。将来のアジアが、世界から見ても親和性がある。つまり、アジアだけが突出したり、特別ではない形で、そういう形で発展していくためには、中国と日本は場合によっては、共同議長みたいな役割を果たしたらいいじゃないかというようなことを話したのです。今度の新日中21世紀委員会の中でも、単なる日中関係ではなくて、日米関係、或いは中米関係、或いは欧州、その他を含めた世界的な視野、世界が変わっていく中で、いったい日中関係はどのような役割を果たしたらいいかというようなことを、両国共に考えなくてはならない」。
就任して5年来、新日中21世紀委員会はダイナミックに変わってきた中日関係の中に、両国の交流に大きく尽力してきました。中日交流の中で出てきた異質な考えに対して、小林氏は次のような立場を述べました。
「許せないなと思うのは、日中両国が将来に向かって友好関係をさらに密にしていくことを否定することです。これはどう考えても、感情面だけではなく、理屈としてもおかしいことです。ただ、友好関係をどうような形で作り上げていくのか、色々な方法があります。ただ、友好関係そのものを目指すことを根本的に否定するというのは、どう考えても間違っていると思います。そのほかの細かいところは色々な意見の違いがあったって、消えない意見の違いがありますけれども、時間と共に消えていくものもある。それに違ったものも違ったものとして受け入れて、別にこちらも不便も感じないものもあるし、やっぱり、目指すところはお互いに理解できる部分を増やすこと。お互いに共有できる、あえて価値観ではなくても、利害関係を大きくしていくということは共通利益の共有ですね」
新日中21世紀委員会は両国、特に民間の青少年交流を促すため、「中日友好基金」を設立しました。小林氏は、「青少年の交流は両国の将来の関係作りに重要な役割を果たすだろう」と見ています。
「今の若い方たちのまさに双肩に日中両国だけではなくて、新しい世界の未来がかかっているというふうに思います。特に世界から見て、アジアの将来は非常に重要な役割を果たしているので、中国と日本の若い人たちがそのことをもう一度胸にしっかり叩き込んでいただきたいと思います」。(東)
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