21日、貨物を満載したたくさんのトラックはカシミールのパキスタン支配地域とインド支配地域からそれぞれ出発し、実効支配線を越えて物資の輸送を始めました。これはインドとパキスタンの紛争地域で国境貿易が再開することを意味しています。この貿易ルートは1948年から領土紛争による無期限閉鎖となり60年が経ちました。過去、危険溢れたこのルートは今、地元の人々の理解と信頼へ通じる平和の道となります。
インドのシン首相とパキスタンのザルダリ大統領が先月、ニューヨークで開かれた国連総会に出席した際合意した協定に基づいて、インド・パキスタンは今月21日、カシミール地区で国境貿易を再開し、地元で生産、加工した果物、野菜、農産物、工芸品などを互いに輸出します。今回に再開した二つの国境道路はスリナガルとムザファラバード結ぶ自動車路線とポーンチとラワァコテを結ぶ自動車路線です。
この一カ月、カシミール地区の国境貿易の再開に備えて、インドとパキスタンは通過道路を整備したり、貨物の積み卸しセンターを設立するなどの様々な準備活動を行いました。
21日朝、スリナガルとムザファラバード結ぶ自動車路線の沿線地区のあちこちには楽げな雰囲気が溢れていました。スリナガルのサラマバデ貿易センターではインド支配地域の地方高官・ボーラ氏の司会による貿易再開式典が行われました。その後、式典参加者の歓声に包まれ第一陣のトラック14台が果物や絨毯など物資を満載し、パキスタン支配地域へ出発しました。
一方、パキスタン側の準備不足のため、ポーンチとラワァコテを結ぶ自動車路線の貿易再開は22日まで延期されました。しかし、すっかり準備を整えたインド商人は21日に野菜や果物など物資をパキスタン支配地域内に輸送して行きました。インド商工業連合会のラマ・サハイ会長は「今日、パキスタン支配地域に輸送する貨物は貿易物資ではなく、われわれの友情をこめたプレゼントである」と語りました。
専門家はカシミール地区で国境貿易を再開することはインド・パキスタンの経済貿易交流を強化させるだけでなく、双方の相互理解を深め、地元住民に幸福をもたらす事業であり、インドとパキスタンの和平プロセスを進める重要な措置でもある」と見ています。
インドとパキスタンは2004年から初の和平対話を開始して以来、すでに5回の和平対話を行いました。双方はカシミールを含む一連の問題をめぐり定期的に会談してきましたが、今なお合意を見ません。国境貿易の再開はインドとパキスタンが和平対話を開始後、双方が実施する相互信頼を深める措置の一つです。専門家は「貿易ルートの開通はすぐ地元の経済繁栄をもたらすことはできず、カシミール問題の最終的な解決を実現することもできない。しかし、これは両国が引き続き平和に努める契約だ」と見ています。
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