北京五輪の開閉幕式や陸上などが行われるメインスタジアム、国家体育場(愛称:鳥の巣・バードネスト)が16日、メディアに対して公開された。これで、北京五輪で使用されるスタジアムは全て出揃ったことになる。
会場への入場口はわずかに一つ。安全検査もかつてないほどの厳しさで、バッグの中の目薬やリップクリームまで全て検査された。また電池は持ち込み禁止、ということで予備のために持ってきた乾電池は全て警備室に預けることに。他のテスト大会とは雰囲気の異なる物々しい警備体制で、国家の威信をかけた競技場ならでは、というところだろう。
鉄骨がツタのように複雑に絡まった『鳥の巣』に似た奇抜なデザインも、しばらく見ているうちに、すっかり北京の風景になじんだような気がする。
通路を通り抜けて、スタジアムに入った。
8月の本番には劉翔が駆け抜けるであろうホームストレッチと時計が眼に入ってきた。すでに据付が完了した膨大な数の座席、お椀型にせりあがったスタンドは威圧感を感じさせる。とにかく圧倒されるくらい「大きい」という印象だ。私はまだ建設中のころ、作業員の方の取材のため、中に入ったことがあるが、当時は重機やさまざまな設備がフィールドに置きっぱなしになっていて、それほど大きさは感じなかった。今は赤と白で塗装された9万人収容の客席が圧巻である。
場内ではまだ最後の作業が真っ最中だった。通路の塗装作業や照明の取り付けなどが佳境を迎えている。また外の『オリンピック公園』はまだ植え込みなどがほとんど進んでおらず、"工事現場"という感じだった。
今回は記者のみへの公開だったため、身内的な話をすると、『メディア席』はかつてない数が用意され、また『記者室』もかなり広くスペースが取られていた。小ネタ的な話だが、記者室の中に、相当大規模なトイレが完備されているのも、なかなかうれしい心遣いだ。記者室からはすぐにスタジアムに出られるようになっており、利便性は高い。他の競技場では、時に不合理なつくりに出会うことがあるのだが、さすが、ここは世界中のメディアを受け入れるべく、しっかりと作りこまれている印象だ。
記者会見場も広く、後方にはガラス張りの部屋があった。本番では、8つの言語で同時通訳が行われるそうだ。
ちょうどこの日は、ボランティアも最終準備に入っているようで、各エリアでミーティングが行われていた。ボランティアは全て北京大学の学生だとか。中国が世界に誇るスタジアムを守るスタッフも中国有数の頭脳で・・・ということだろうか。
国家体育場(鳥の巣)では、18日、19日と競歩の五輪テスト大会が行われることになっており、これが"こけら落とし"となる。また5月には劉翔が姿を見せる陸上のテスト大会も予定されている。
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