チベット自治区は中国の南西部に位置します。面積はおよそ120万平方キロメートル、人口は281万人となっています。また、平均海抜は4000メートル以上となり、環境がとても厳しいところです。1949年新中国が成立する前は、経済と社会発展が立ち遅れていて、住民も苦しい生活を送っていました。

　新中国成立後、中央政府は巨額の資金を拠出してチベットの建設を力強く支援すると同時に、チベットの発展に有利な優遇措置を多く講じてきました。その結果、チベット自治区の状況はずいぶん変わってきました。これについて、チベット自治区のジアンバ・ピンツオ主席は「2006年、チベット自治区のGDP・国内総生産は290億元となり、6年連続して12％以上の伸び率を保っている。そして、一人当たりのGDPが1万元を超えた。今はチベット経済成長の最盛期だと言える」と話しました。

　2006年から2010年までの5年間、中央政府はチベット自治区のインフラ施設や農牧民の生活条件を改善するため、700億元あまりを投入することになります。これはチベットの今後の発展に大きな後ろ盾になります。

　こうした中央政府の投資がチベットの文化を変えてしまうと考えている人もいますが、これに対して、ジアンバ・ピンツオ主席は反発しています。主席は「チベットの人口構成は92％がチベット族で、漢民族は5％、そのほかの民族はわずか3％となっている。漢民族に同化される心配などまったくない。チベットでは、今でも自民族の祝祭日や習慣を守っており、チベット語も自治区の共通語として使われている。また、宗教の信仰も自由で、全自治区には今170箇所あまりの宗教寺院があり、宗教活動は順調に行なわれている。その上、中央政府はチベット文化を保護するため多くの資金を投入してきた。例えば、ポタラ宮やノルブリンカなどの寺院を修繕するため、2002年に3億元あまりを投入した」と説明しました。また、「中央政府の投資によって、道路や電気、飲料水の問題が全部解決した。また、農牧民の教育問題や医療衛生問題にも関心を寄せている。今、チベット自治区では住民に無料で医療サービスを提供するほか、学費免除などの優遇策を取っている。チベット自治区の農牧民は最大の恩恵を受けている」と強調しました。

　チベット自治区は経済を発展させると同時に、地元の環境保全を非常に重要視しています。今、チベット自治区には38箇所の自然保護区が設けられており、総面積は40万平方キロメートルあまりに達しています。これについて、ジアンバ・ピンツオ主席は「チベットの環境保全問題はチベットだけの問題ではなく、国全体の利益、さらにアジア太平洋地区全体の生態にかかわる大問題である。中央政府はこの問題を非常に重視している。われわれこの地区に生活しているわれわれチベット族としても、自然環境を大切にしなければならない」と指摘しました。