チベット自治区のラサ市には、ボタラ宮殿の東部に賑やかな街・北京東路があります。
この北京東路にドゥニア(Dunya)というレスランがあり、レストランの2階にはヨーロッパ風のバーがあります。
このレストランはオランダ、アメリカ、中国チベット自治区からの4人が合同で出資しています。
投資者の1人、49歳のオランダ人女性ジャネット・トルースト(Janette Troost)さんは女主人です。
トルーストさんはオランダで十数年ガイドの仕事をしていました。これを契機に18年前、トルーストさんは初めて観光客としてチベットを訪れました。彼女は現地の桃源郷のような風景に魅了されました。
オランダは地形が平坦で高い山がなく、標高100メートルぐらいの地点は最高だそうです。
トルーストさんは大自然と高い山を愛し、オランダとは全く異なるチベットの風景に心奪われました。
その後、トルーストさんは旅行団の随行員や休暇を利用してチベット観光を繰り返していました。
6年前の1999年、彼女は自国オランダでの生活を切り上げ、チベットで新しい生活をスタートさせると決断し、ラサ市の北京東路でドゥニアとうレストランを開業しました。
レストランの名前についてトルーストさんは「世界各地からの観光客が高原での1日が終わった後、自宅に帰ったような暖かいところでリラックスしがたっている。アラビア語、トルコ語、インド語などでドゥニアという言葉は世界全体という意味がある」と紹介し、「各国の観光者がこのレストランで自分の好きな料理を賞味し、自宅のような感じになれる」と話しました。
ドゥニア・レストランには職員は18人居ます。調理師5人とバーのボーイ1人がネパール人で、残り12人のボーイは現地のチベット族住民です。
開業当初の2年は、トルーストさんと英語の分からないチベット族ボーイの間で意志の交流が難しく、日常用語を勉強しても誤解が避けられませんでした。
また食文化の差も存在しました。チベット族の職員は当初西洋料理が好きではなく、ピサ、フレンチフライ、スパゲティなど一体どんなものか分かりませんでした。ピサに入れたチーズの味も受け入れられませんでした。
こうした情況でトルーストさんは職員に対する職業訓練を自ら実施しました。彼女はチベット族ボーイ全員に西洋料理を賞味させ、ピサ、スパゲティを味見してもらい、調理室で調理過程の研修をさせました。こうして、職員達は西洋料理への認識が強化され、トルーストさんとの間で親近感が増強されました。
ここ数年、チベット自治区への外国人観光客は増加を続けており、ドゥニア・レストランの経営も盛況になっています。
2003年までに来客の90%以上が外国人観光客でした。2003年の新型肺炎流行で観光業は大きな打撃を受け、外国人観光客が急減し、トルーストさんのレストランも例外なく景気後退しました。
しかし、外国人来客が急に減りましたが、チベット族住民の来店は増えました。
トルーストさんはチベット族の来客に「なぜ、これまでここに来なかったの」と質問した際、「外国人が一杯なのでちょっと恥ずかしさが感じられた」と答えました。
西洋料理自慢のドゥニア・レストランは、ラサ市のチベット族住民から好評を得ています。
トルーストさんは「ピサ、チベット特有の牛・ヤクの肉を原料としたフライドビーフなどはチベット族に特に人気が高い」と自慢を話しました。
ドゥニア・レストランでは現在30%の来客がラサのチベット族住民で、より多くの市民が「ウィークエンドパーティーをドゥニアで」とするようになっています。
トルーストさんは「ずっとラサに暮らしていく、多分一生もかかる」と語っています。
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