日本メディアの「両会」注目点(その一)
ーーNHK中国総局の原田誠総局長に対するインタビュー
中国の「両会議」の開催は世界の注目も集めており、メディアの報道重点となっています。「両会議」報道センターで外国人記者の事務を担当している宮宇峰氏によりますと、今年、31の国から135社の報道機関の560人近くの外国記者が中国の「両会議」の取材に申し込んだということです。では、外国人の記者はいったい「両会議」のどんなところに注目していますか。これについて、1日、日本放送協会(NHK)中国総局の原田誠総局長にインタビューしました。
記者:原田さんは北京に来て、もう何年間経ちましたか。
原田:今回は8ヶ月経ったんですけれども、以前、10年ほど前に2年間駐在しておりました。2回目です。
記者:原田さんは中国の「両会」(全人代と政治協商会議)の報道に参加したことがありますか。
原田:はい。以前駐在した時に2回取材してきました。
記者:NHKはこれまで中国の両会を取材報道したことがありますか。何年間続けましたか。
原田:そうですね。毎年、重要な会議ですので、報道しまして、日本でも大きく取り上げられています。中国の今後の経済政策、政治政策などどのように変わっていくかというのを取材するいい機会だと思っています。NHKは1964年に北京支局ができたのです。それから取材が許可されるときは必ず取材をしてきました。
記者:NHKは今年の「両会」に関する報道の重点は何ですか。
原田:毎年のことなのですけれども、全人代初日の温家宝総理の「政府活動報告」にまず注目しています。特に日本との関係といえば、去年10月の日本の総理大臣の中国訪問以来、日中の国交正常化35周年を迎えて、温家宝総理が来月の日本訪問を前にして、どのような日本との関係を捉えていくかということに注目しています。また、外交面では北朝鮮と中国との関係をどうするのかなどいろんなことに注目しています。もちろん中国の内政問題で、中国の都市と農村の格差をどのように解消していくのかとか、国内の経済をどのように運営していくのかということについても注目しています。法律について言えば、今年は「物権法」という法律が審議されます。これについて注目しています。
記者:今度の報道規模は例年と比べてどうですか。具体的に言えば何人の記者を派遣しますか。
原田:NHKの中国総局には現在8人の特派員がいます。それに加えて、上海から2人、日本からも2人の記者が来て、合わせて日本人の記者12人で取材をすることにしています。オリンピックの取材のこともありまして、去年より北京に駐在する記者の数が2人ほど増えています。
記者:今回の報道はテレビニュースのほかには、どんなかたちの番組がありますか。
原田:一般の短いニュースのほかに、特別の、これからの中国はどういうふうに変わっていくのかという番組も企画しておりますし。今回はちょうどう全人代の期間中に天津で特別番組を作って、天津の今の移り変わりの状況などを日本に向けて中継する企画も考えています。「海外ネットワーク」という日本で日曜日の夕方6時10分から35分間やっている番組ですけれども、そこのキャスターの人が天津に来て、日本に中継して、全人代の様子とか、天津の現在の開発の状況などについて放送する予定です。
記者:今年は中日国交正常化35周年という節目の年でもありますし、また中日スポーツ文化交流年の活動も行われますので、NHKはそれに合わせて何か報道や取材する企画がありますか。
原田:そうですね。もちろんスポーツ交流年の行事については取材をその都度やりたいと思っていますし、北京オリンピックに向けての中国国内の動きについてもニュースや番組で取り上げる予定があります。中国を多角的に取材して、中国のもちろん発展する面もありますし、発展から取り残されたり、格差があるという面も取材できるだけで、たくさんの情報として、日本の視聴者の皆さんに紹介していきたいと思っています。
記者:北京オリンピックまで後1年間ですから。北京オリンピックに向けて、原田さんもNHKも一番注目しているところは何ですか。
原田:そうですね。北京がどんどん変わってきていると思います。例えば、私は10年ほど前に駐在をしていたんです。そのときは自転車はまだ車よりも多かったんですけれども、今は自転車が少なくなって、車の数が増えていますし、高いビル、高層ビルもどんどん建っていますね。そういう経済的な発展とともに、やはり北京の人たちがオリンピックを迎えるためにいろんな準備をして、北京の町をきれいにしようとか、マナーを向上させようとかという目に見える移り変わりというのはすごく激しいので、驚いています。そういうものも含めて、オリンピックに向けて準備をしているというようなところも紹介したいと思います。ただ、やはり農村のほうに行きますと、まだ北京とか上海の発展に比べると、その格差がまた大きくなっているというような気もしていますし、中国政府がどのように格差を解消していくかということも取材していきたいと思っています。(03/01 取材:劉叡琳)
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