今年は、中国がWTO・世界貿易機関に加盟して5周年にあたります。これにちなんで、WTO駐在の孫振宇・中国大使は、このほどスイスのジュネーブで、中国国際放送局の記者のインタビューを受けました。孫振宇大使は、その中で、「中国は、WTOに加盟したときに行った約束を真剣に履行している。また、現在、WTOの加盟国として、建設的かつ積極的な役割を果たしている」と述べました。
孫振宇大使は、記者のインタビューに答え、「中国は、WTOに加盟してから5年、WTOと約束した事項を完全で、全面的かつ真剣に履行している」と述べています。そして、具体的に、「ここ5年、中国は、およそ2000件の法律や法規を整備、改正し、そのうち、700件以上の法律法規を撤廃した。また、新たな法律や法規を作成する際の透明性も高めた。そして、関税を大幅に引き下げ、1992年に43.2%だった平均税率を、現在の9.9%まで下げた。この税率は、世界各国、とりわけ発展途上国の中では低いほうである。さらに、市場開放において、農産物を含むすべての製品の国内市場を開放した」と紹介しました。
中国は、関税を大幅に引き下げたことによって、対外貿易、とくに輸入貿易が大きく伸びてきました。ここ数年、年間輸入貿易額の増加は1000億ドルを超えました。孫振宇大使は、「これは、中国が市場開放を行い、WTOとの承諾事項を真剣に履行した結果である」としています。
また、孫大使の紹介によりますと、非関税措置において、中国は、WTOと合意した経過期間の規定にしたがって、輸入の許可や割当など輸入制限を次第に撤廃してきました。さらに、サービス分野では、金融、保険、電気通信、証券など160項目のうち、102項目で市場を開放することを承諾しました。
ところで、孫振宇大使は、「中国は、承諾の履行を実施している一方、まだ不十分なところもある」ことを認めました。孫大使は、「現在、アメリカや欧州連合などは、中国が知的所有権の保護において問題があると指摘している。中国は、知的所有権の保護を強めるため、関連法律を改正した。ただ、法の執行が理想的に進んではいない。今後、この面で監視や管理を強化する」と述べました。
孫大使によりますと、スイス、チリ、パキスタン、シンガポールなどのWTO駐在大使はともに、中国がWTOに加盟した時に行った承諾の履行を評価したということです。
さらに、WTOで中国が果たしている役割について、孫振宇大使は、「中国は、建設的かつ積極的な役割を果たしている。これは、WTO加盟メンバーから認められている」としています。孫大使は、これについて、「現在、中国の市場開放が成果を納めたため、WTOの多くの加盟国は、先進国との交渉で、市場開放で中国から学ぶよう要求している。また、中国は、WTOでの新たな交渉に積極的に参加し、インド、ブラジルなどの発展途上国とともに、WTOでの不公平な問題を改善するため努力している」と語りました。
孫振宇大使は、さらに、「中国は、今後、WTOでの交渉と関連ルールの作成についてより大きな役割を果たすため、WTOについて精通した人材の養成を進める」と述べました。
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