WTO・世界貿易機関の紛争解決委員会は13日裁決報告を下し、「アメリカの関連法が輸出会社に補助金を与えるのはWTOの規定に違反している」としました。

　これは専門家グループが出した最終の裁決で、すでに去年9月30日に出されている中間裁決を再確認した形となります。これによりますと「アメリカの『輸出会社法』とその代りに制定された『海外収入排除法』によってアメリカ輸出企業に補助金が与えられることは、WTOが定める公平な競争原理の規定に違反している」と見ています。

　EU・欧州連合とアメリカの間の『輸出会社法』をめぐるトラブルはかなり以前から始まっています。欧州共同体は『輸出会社法』制定当時からそれに反対しており、アメリカの輸出会社に対する税の減免措置は輸出補助金と等しい性格を持つと見ています。しかし、当時はWTOウルグアイラウンドの情況から、EUは直ちにアメリカを起訴することはありませんでした。1990年代後半、EU加盟国はアメリカの『輸出会社法』に対してますます多くの不満を抱くようになりました。EUの見積もりによりますと、アメリカの輸出会社がこの法律をもとに受け取った輸出補助金は急速に増えており、毎年およそ40億ドルに達しているということです。これによって、EU加盟国の化学工業や、製薬、機械、電子製品などの業界が不公正な競争にさらされ、深刻な損害を受けました。1997年、EUはアメリカとの交渉で合意に達しなかったのを受けて、アメリカをWTOに起訴しました。

　1999年10月、WTOは裁決を出し、『輸出会社法』が違法な輸出補助金を実施しているとしました。その後、WTOの上訴委員会はアメリカの上訴を受けましたが、2000年3月にはその裁決を維持すると発表しました。同時に、2000年10月1日までにこの法律を廃止するようアメリカに要求しましたが、アメリカはそれを守りませんでした。

　2000年11月、EUはまたWTOに提訴し、アメリカの輸出製品に、あわせて40億4300万ドルの関税をかけるよう要求しました。2002年8月WTOは「アメリカの『輸出会社法』は廃止すべきだ。もしアメリカが不服なら、EUはアメリカの輸出製品に40億ドルの制裁関税を課すことができる」と改めて表明しました。

　そして2003年5月、EUは、2003年度中に『輸出会社法』を廃止するようアメリカに要求しており、「さもなければ、EUは2004年1月1日から正式に制裁措置を講じる」と表明しました。その後、EUは2004年3月1日から40億ドル分のアメリカ輸入製品に5％の制裁関税を課し始めました。この税率は、毎月１ポイントずつ上昇することになっており、2005年3月には17％の上限に達します。これは、EUがはじめてWTOの許可を得てアメリカに貿易制裁を行うものであり、その規模も欧米貿易史上最大のものです。しかし、EUは同時に「アメリカが『輸出会社法』を廃止すれば、その制裁を解除する」と表明しました。

　2004年10月22日、ブッシュ大統領は『輸出会社法』の廃止を発表しましたが、それと同時に『海外収入排除法』の制定を明らかにしました。この新法は2005年1月1日から効力が発生しました。EUは約束の通り直ちにアメリカに対する制裁を解除しましたが、新法案について再びWTOに起訴しました。

　WTOの関連規定によりますと、アメリカは3ヶ月以内に関連法を修正しなければなりません。さもなければ、EUはアメリカの輸出製品に制裁関税を課すことができます。専門家は「アメリカがこれによってあきらめることはない。欧米間のこの長い国際訴訟は今後さらに続いていくだろう」と見ています。