インドネシア災害対策調査庁は19日、ジャワ島南西部沖で17日発生した強い地震と津波による死者は550人に、行方不明者は275人に達したと発表しました。
これは2004年12月のスマトラ沖大地震による津波以来2回目の大きな津波による被害となっています。
専門家は「津波により2度も大きな人的被害を出したため、インドネシアでは津波警報システムの整備が急務となっている。2004年来、インドネシアでは大地震と津波が頻繁に発生し、大きな被害を蒙っている。その原因として、インドネシアが環太平洋地震帯に位置し、また、その災害警報システムの不備が挙げられる」と指摘しています。
インドネシア研究技術省は18日、津波来襲を前に、ハワイのアメリカ太平洋津波警報センターと日本気象庁から津波の恐れがあるとの連絡があったものの、関係部門は国民に警告を出さなかったことを認めました。
これについてAP通信は「津波の第一波が到達する40分前に、インドネシア政府は警報を受けた」としましたが、ユスフ・カラ副大統領は「そのときの大地震発生から津波来襲まで僅か15分間しかなく、警報を出す時間はなかった」としています。また、インドネシアのメディアは「政府が適時に警報を出しても、地方では住民を避難させるには、間に合わなかっただろう」と書いています。
インドネシア気象地理庁筋は「住民に警報を出す最適の方法は、海岸に警報用サイレンを設置することである」と提案しました。
メディアは「津波の被害を受けた沿岸にはそれまで警報用の施設はなく、また、警報が地方政府から即時に海岸の住民と観光客に伝わる可能性はない」と指摘しています。
報道によりますと、19日当日は波が低く、海岸のビーチにいる人々のほとんどは大地震の発生という事実を知らず、また海水の沖への後退という津波の前兆を見ても、それが津波到来を意味しているとは考えなかったので、大きな被害が出たということです。
ところで、2004年の12月26日、スマトラ沖で大地震による津波が発生し、震源に近いアチェ州では十数万の死傷者が出ましたが、これを受けて、インドネシア政府は津波警報システムの構築を計画しました。
この計画は25カ所の沖に海底センサーと海上ブイの設置を決めていますが、これは2009年に完成する予定です。現段階ではスマトラ沖では2カ所これを設置したものの、その設備は損壊されて機能していません。
一方、同じくスマトラ沖の大地震による津波で被害を受けたタイとマレーシアでは津波警報システムの構築が順調に進められています。
タイ南部の沿岸地帯では警報用のサイレン塔を設置し、警報の多言語放送も可能です。
またマレーシアでは、2ヵ所の沿岸海域で海底センサーと海上ブイが設置され、津波到達の1時間前に警報を出すことが出来りほか、これを携帯通信、テレビ、ラジオ放送などと連動させています。
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