10月1日、インドネシアの観光地バリ島で、数回の爆発が起きn
多くの死傷者が出ましたが、専門家はこれについて「今回の同時爆発テロはインド洋津波の被害を受けたインドネシアの観光業にまたもショックを与え、インドネシアのテロ取締り情勢をより複雑化させた」としています。
現地時間の1日午後6時50分頃、観光地であるジンバラン地区の繁華街で2回爆発が起きました。目撃者によりますと、一回目の爆発で8人が死亡し、30数人が負傷したあと、およそ10分後に、ジンバラン地区から30キロ離れたクタ地区のショッピングセンターで爆発が起きました。
AFP通信によりますと、この2回の爆発で32人が死亡、約100人が負傷しましたが、インドネシアの国営アンタラ通信社は、19人が死亡、数十人が負傷したと発表し、死傷者の多くは外国からの観光客だとのことです。別の報道では、オーストラリア人1人と日本人1人が爆死したほか、オーストラリア人3人が負傷したとあり、爆発事件は観光客が集中している場所で発生したため、死傷者の数はこれから増える可能性があるとしています。
インドネシアのユドヨノ大統領はスポークスマンを通じて、今回の爆発事件を強く非難すると国民に伝え、これまでに関係閣僚と、情報局局長及び警察総長からなる特別対応チームをバリ島に送っています。大統領本人もその後現場へ視察に向かったということです。
インドネシアのテロ取締り部門の責任者アンシャアド・ムバイ氏は、「この同時爆発テロは、明らかにテロリストの仕業によるものだ」と指摘し、ジャカルタの専門家は、「今回の同時爆発事件はアルカイダと関係のある地元の武装組織による可能性が強い」としています。
インドネシア外務省のナタレガワ・スポークスマンは記者団に、今回のテロ爆発事件による損害は、2002年のバリ島爆発事件より小さいと発表しています。
ところで、ユドヨノ大統領は今年の8月29日、「安全部門の情報によると、テロリストはインドネシアでテロ事件を起こす計画を立てており、向こう2ヶ月以内に事件を起こす可能性がつよい」との警告を出し、また、9月と10月でのテロ襲撃発生の可能性が高いことから、この2ヶ月を特別テロ取締り月間としています。これを受け、インドネシアの警察及び安全部門も警戒度を高めていたものです。
関係筋は、今回の同時爆発テロはインドネシアの観光業にまたもショックを与えたとしています。実は観光業による所得はインドネシアの外貨収入では2番目を占め、国の経済を支える重要な支柱となっています。しかし、3年前のバリ島テロ爆発はインドネシアの観光業に強いショックを与え、国の経済発展の後足を引きました。その上、去年末にインド洋での津波により、17万人が死亡あるいは行方不明となり、これは地元の観光業へのまた一つのショックとなったのです。ですから今回の同時爆発テロは、インドネシアへの外国観光客の数を大きく減らすのはいうまでもなく、インドネシアのテロ取締り情勢を一層深刻化させているのです。
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