国連加盟国の首脳会議が本月中旬に行なわれるのを前にしてUNDP・ 国連開発計画が「2005年人類発展報告」を発表しました。この報告によりますと、現在の状況では、国連ミレニアム発展目標は2015年までに実現することは無理になってきたとのことです。この報告は、各国が開発援助、国際貿易、安全政策の面で協力して、ミレニアム発展目標が予定通りに実現することを推し進めるよう呼びかけています。
5年前、各国の指導者は、2015年までに、極貧状態に置かれた人口を半分に減らし、児童の死亡率を減少し、全ての子供が教育を受けることができるようにすると約束しました。まもなく行なわれる国連首脳会議の重要な議題の一つは、2000年「国連ミレニアム宣言」が発表されてから収めた成果を振り返ることです。しかし、「2005年人類発展報告」が発表した関連調査結果は、人々をがっかりさせるものといわれざるを得ません。
貧困撲滅の面では、今の状態が続けば、2015年に、極貧生活を送っている人口は定められた目標より3億8000万人も多くなり、その他、更に17億の人々の毎日の生活費は2ドルのみとなります。
児童の死亡率を低下させる面では、今の状態で行けば、5歳以下の児童の死亡率を3分の2減少するという目標は2045年になるまでは実現できないことになります。また、飲用水安全の保障と衛生施設、小学校教育の普及などの目標も予定通りの実現は不可能となっています。
この報告によりますと、ミレニアム発展目標を実現させるために、各国は開発援助、国際貿易、安全政策など3つの面で協力を強める必要があるとしています。開発援助の面では、援助金が国民収入に占める割合から見れば、経済力世界一のアメリカは世界で下から2番目、日本は下から3番目となっています。報告は先進国は援助金を大幅に上げる必要があると指摘しました。
貿易について、この報告は先進国の農産物手当てと保護主義によって最貧国にもたらされた大きな衝撃を強く批判しました。
統計によりますと、先進国が毎年発展途上国の農業援助に払った金額は10億ドルですが、一方、自国内の農業に支出した補助金は1日で総額10億ドルにものぼります。先進国の農業保護主義が発展途上国に毎年720億ドル近くの損失をもたらしており、これは大体2003年の政府開発援助の流入総額に相当しています。
安全保障問題について、報告は、「貧困は一般的に武力衝突の発生の根源であり、また武力衝突はかえって貧困を深刻化させる」と指摘しています。統計によれば、世界の「人類発展指数」のランキングの中で下位の32カ国の中、22カ国はいずれも、1990年代からなんだかの紛争を経験しています。報告は、「全世界の発展の目標を実現するため、国際社会は、具体的な措置を講じて貧困と武力衝突の悪性循環を打ち破らなければならない」としています。
また、報告は、「ミレニアム発展目標を実現するには、2005年が一つの十字路である。各国政府は5年前の承諾を空文にするか、それとも更に公正で新たなグローバル化モデルを作り上げて、既定の目標を実現させるかという選択に直面している」と指摘しました。
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