国際エネルギー機関が戦略的石油備蓄を使って原油市場を安定させる決定を下した後、国際市場の原油価格は直ちに下落し、三日間続落しています。この事実は、国際社会が一致して協調すれば、ここ二年間高まりつつある国際市場の原油価格を合理的な範囲内に抑制することが可能であると証明しています。
先月下旬から、ハリケーン「カトリーナ」がアメリカ南部にある石油生産地を襲ってから、国際市場の原油価格は絶えず史上最高値を更新し、アメリカのガソリン価格は更にハリケーン被害前の二倍ほど高騰しています。
アメリカの窮境を緩和させるため、国際社会は相次いで援助の手を差し伸べています。今月2日、国際エネルギー機関の26の加盟国は、戦略的石油備蓄を使い、30日間で合せて6000万バレルの石油を国際市場に投入することで合意しました。実は、「カトリーナ」がアメリカに上陸する前に、サウジアラビア、クウェート、ベネズエラなど石油輸出国機関のメンバーは声明を発表し、アメリカの石油危機を緩和させるため援助したいとしています。このほか、カナダ政府も毎日アメリカに9万1000バレルの原油を輸出することを承諾し、韓国と日本も相次いでその戦略的石油備蓄の一部を国際原油市場に放出すると表明しました。
今回の国際社会による国際原油市場への共同援助は、人々にたくさんのことを認識させました。
まず第一は、国際社会が一致団結すれば国際市場の原油価格の高騰を抑制することはできるということです。去年以来、国際原油市場の価格は高まりつつあり、結局1バレル70ドルという心理的価格を上回りましたが、最近、国際社会は一致して行動し、国際原油価格の更なる高騰を抑制することに成功しました。
その次に、アメリカは国際原油価格を抑える面でもっと積極的で、責任のある役割を果たすことが求められています。アメリカは世界最大のエネルギー消費国と輸入国で、また、世界最大の戦略的石油備蓄を有する国として、その一挙手一投足はすべて、国際原油市場に影響をもたらすものです。しかし、このほどの原油価格の高騰は、アメリカに致命的な打撃を与えていなかったため、ブッシュ政府は自分自身の様々な利益に基づき、原油価格に無関心で、その負うべき責任を負ってはいませんでした。しかし、今回、アメリカが「被害」に見舞われ、国際社会は相次いで援助の手を差し伸べ、その石油不足の対応に協力しています。数多くのメディアは、アメリカは今回のことから有益な教訓を学び取り、各国の相互依存が日増しに強固になった時代において、エネルギーを含めた国際協力に尽力するよう期待しています。
三つ目は、現在、原油価格のうなぎ上りは、世界経済と人々の生活に著しい影響を与えています。しかし、その一方、石油の埋蔵量は尽きる日があり、石油を含めた各種エネルギーを節約すると同時に、石油の代替エネルギーを探すことは、国際社会にとって、解決する必要のある重要課題なのです。国際社会はエネルギー技術の協力さえ強めていけば、よりクリーンで、高効率で、節約型のニューエネルギーの誕生は、決して絵空事ではなくなることでしょう。
OPEC・石油輸出国機構の輪番議長を務めるクウェートのファハドエネルギー相は最近、国際市場の原油価格はその実質レベルを遥かに超えている現状にふれ、心理的、投機的要素を取り除き、経済ルールで物事が運べば、原油価格は現在のレベルではないはずだと指摘しています。そのため、現在、国際市場の原油価格に影響を与える要素はたいへんに複雑だと言えます。国際社会は今後とも、石油供給の逼迫した情勢を緩和させる長期的で、効果的な方法を見つけるため、努力していくべきでしょう。
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