干支で数えますと、2012年は「辰年」です。「辰」は「龍」。中国人にとって「龍」は、「好運、財産、幸福をもたらす」もので、最も縁起のよい干支とされています。また「元気、前進、奮闘、制覇、出世」のシンボルで、男性の代名詞でもあります。日常で「龍」という言葉は、縁起をかついであらゆるところで目にしたり、耳にしたりします。たとえば、辰年生まれの人の名前、道具、経済界、四文字熟語ないし場所の名前などにも使用されます。
まず、龍の持つものになぞらえた言い方を見てみましょう。
一 龙须面 lóng xū miàn
直訳すると「龍のひげの麺」です。小麦で作った非常に細い麺です。日本のそうめんよりも細いです。スーパーなどで買うことができます。スープ麺にしたり、しゃぶしゃぶやおなべに使われたりしています。我が家では、忙しい時や胃の調子が良くない時に食べます。
二 龙眼 lóng yǎn
これは果物です。まるで龍の目のような、まん丸の形をしています。南国産の果物で、ブドウのように房状になります。
茶色い皮を剥いて、その実を食べます。また、乾燥させたものを生薬として使います。漢方ではこの実は滋養強壮の効果があるとし、健康に良いとされています。
普段の生活でも血のめぐりが悪く、体調が悪いと感じたら、それをお粥に入れたり、お茶に入れたりして食べる人も多いです。でも食べ過ぎると、体がのぼせてしまうので、注意しましょう。
三 龙王庙 lóng wáng miào
龍をまつる廟です。龍は雨や水を管理する神で、一年の天候や豊作を守ってくれると信じられています。このことから、「龍」は人間の命や国の前途をコントロールできるとされています。龍王廟は人々の生活や国にとって大事なお寺なのです。
ちなみに、旧暦のお正月・春節が終わり、旧暦の二月二日は、龍を拝む日です。民間では、この日に、新年を迎えてから初めて、髪の毛を切ります。お正月期間中は、髪の毛を切ることは禁じられています。
四 水龙头 shuǐ lóng tóu
蛇口のことです。いつも家の中には龍がいるんですね。
また、めでたいこと、嬉しい気持ちを表すのにも、よく龍が使われます。
五 龙凤胎 lóng fèng tāi
双子のことですが、男の子と女の子の双子の場合は、「龙凤胎」・「龍鳳胎」と言います。龍が男の子、鳳が女の子です。
六 龙头企业 lóng tóu qǐyè
企業のことですが、ニュースなどでよく見かけます。「リーデングカンパニー」の意味です。
実力があり、業界をリードする企業を指しています。
七 老态龙钟 lǎo tài lóng zhōng
老いるに態、そして、龍に鐘と書きます。
年を取り、よぼよぼに老いぼれて、動作が不自由になった姿を指しています。
八 龙凤呈祥 lóng fèng chéng xiáng
「龍と鳳凰が舞う」という図案で、「めでたいことがやってくる」という意味が込められています。
彫刻や絵画、切り紙、刺繍のモチーフになっており、結婚式でよく見かけます。
勢いよく空を舞っている龍が、ついてくる鳳凰を振り返っています。その鳳凰は羽ばたきながら、龍をじっと見つめ、回りには、渦巻く白い雲が漂っています。
この図案から、中国人は縁起がよく、和気藹々の雰囲気を感じています。
九 鱼龙混杂 yú lóng hùn zá
直訳しますと、「魚と龍が入り混じり、見分けることができない」という意味です。
ここでは、魚はつまらないもの、龍は優れたものを表しています。日本語の「玉石混交」にあたります。
十 叶公好龙 yè gōng hào lóng
これは、中国で広く親しまれている物語から来た言葉です。
「葉」という苗字の男性が、普段は「大好きなのは龍だ」と公言していました。龍の書や彫刻など、いたるところに龍を飾っていました。これに感動した天の龍は、ある日、この男の顔が見たいと思い、天から彼の庭におりてきました。しかし、実際に龍を見た葉は、喜ぶどころか、怖くて隠れてしまったのです。
このことから、口で言っていることと、実際にやっていることが違うことを意味します。
日常では冗談半分で言う場合が多いです。
人名、日常用品から経済界の用語、四文字熟語まで、様々な
面で見られる「龍」は、「明るい、前向き、幸せを求める」中国人の心を表しているのではないでしょうか。(朱丹陽)
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