日本の伝統楽器の音色に、現代的なポップ音楽の要素を織り交ぜ、新しい音楽を追及している女性３人組のユニット「Rin´」の北京コンサートが、３月16日、北京のライブハウス「スターライブ」で開催されました。

　グループ名の「Rin'」は、いろんな意味がかけられています。まず、「凛（りん）とする」の「リン」、そして、英語で「輪っか」の意味の「Ring」。このわっかの「輪」は、「邦楽」つまり「和楽」の「和」と同じ音です。つまり、「凛とした姿勢で、音楽を通じた輪を広げていきたい」という意味です。

DJが抱いていたイメージ

　彼女たちの曲を聞く前は、「中国の女子十二楽坊のようなグループかな」と想像していましたが、実際、ライブでの演奏を見て、少し違う印象を受けました。伝統楽器を使ってはいますが、音楽自体は完全にＪ?ＰＯＰで、若い世代でも普通にノレて楽しめる音楽です。新鮮でした。

「Rin´」のプロフィール

　メンバーは、マナさん・チエさん・トモカさんの３人。子供のころから琴や琵琶、三味線などの伝統楽器に親しんでいた３人は、東京学芸大学で出会います。２００３年、音楽ユニット「Ｒｉｎ'」を結成。そして、２００４年、シングル「ＳＡＫＩＴＡＭＡ」でデビュー。その後はシングルやアルバムのリリースのほか、ライブ開催やCM出演など、精力的に活動を続けています。また、海外での活動も多く、2004年1月、ビジットジャパンキャンペーンの一環で、中国・上海での音楽イベントに出演しているほか、アメリカやメキシコなどのライブでも高い評価を受けています。昨年には『Inland Sea』というアルバムで、北米デビューも果たしています。

北京でのライブ

　今回のコンサートは、日本国際交流基金の主催で、「中日文化・スポーツ交流年」の関連事業として行われました。会場となったライブハウスには、およそ1000人の観客が集まり、熱気に包まれていました。「Rin'」のメンバーが姿を見せるやいなや、いきなり大きな拍手と歓声があがっていました。

　「Rin´」のメンバーの衣装は、今回の中国ツアーのために特別に用意した赤と白のきれいな着物でした。それに、ボブカットのヘアピース（かつら）と、ヒールの高いブーツを合わせて、現代風に着こなしているのが印象的でした。３人とも、日本人形みたいでした。

　日本の伝統音楽の物静かなイメージとはちょっと違って、思わず踊ってしまいそうな雰囲気です。３人ともヘッドホンマイクをつけて、琵琶担当のトモカさんが、ロックギタリストみたいにステージ中央に出てくる場面もあったりして、動きのある元気なステージでした。

　また、ステージの後ろに大きなスクリーンが設置され、曲にあわせた映像が映し出されていました。実は、今回のライブには、VJ（ビジュアル・ジョッキー）として松井夢壮（まつい・むそう）が同行していました。松井さんは、「Rin´」のプロモーションビデオをいくつか担当されている映像作家で、今回のライブでは、この松井さんの映像を存分に楽しむことができました。テーマはずばり「日本」。桜の花や雪景色、万華鏡、能の舞台などをモチーフにした映像が、ステージを盛り上げていました。

　曲と曲のあいだで、「Rin'」のメンバーがおしゃべりをする場面がありましたが、中国人の観客は日本語が分からないので、スクリーンに中国語字幕が出ていました。中国の観客への心遣いを感じるステージでした。

　今回のステージでは、最新アルバム『Inland Sea』の収録曲を中心に、日本の民謡やアニメのテーマソング、さらに、中国でおなじみの曲『茉莉花（ジャスミン）』まで披露。観客も大満足の２時間でした。

観客からのリアクション

　「とにかく、すごかったです。音楽、パフォーマンス・・・どれをとっても非常に良かったと思います。どの曲も好きですね。日本の古典楽器を現代風にアレンジしているのが、非常に新鮮でした」（何さん）

　「友達に誘われてきたんですが、いやー、ひとことで言うと驚きました！スクリーンの映像もよかったですね。特に、Rin'が万里の長城を観光したときのＶＴＲが流れたのはおもしろかったですね。アーティストが身近に感じられてうれしかったです」（張さん）

　「今日は子供と一緒に来ました。こうしたイベントは、両国の若者の交流を促進するいい機会にもなりますね。ＲＩＮ'のみなさん、非常にいきいきとしていましたね。観客との距離も近かったし、なにより、中国の名曲『茉莉花』を演奏してくれたのがうれしかったです」（王さん）

　なかには、大学で日本語を勉強している日本通の若者もいましたが、基本的には「日本の伝統楽器の音色を聞くのは初めて」という方がほとんどでした。でも、みなさん、すっかりその音色に魅了されていたようで、「ＲＩＮ'のＣＤはどこに行ったら買えるの？」って問い合わせも殺到していたようです。

北京ライブのあとは・・・

　北京でのコンサートを成功させたあと、１８日には上海、２１日には西安でもコンサートを行いました。特に西安では、西安音楽学院で交流会を行い、伝統音楽を学ぶ学生たちとのセッションや会話を楽しんだとのことです。