中国には約8億の農民がいますが、その健康問題は非常に重要なこととなっています。しかし、都市と農村の経済と社会の発展のバランスが取れていないため、農村地区、特に、西部地域の農村の医療衛生のレベルは低く、設備が立ち遅れ、医者も不足しています。このほか、収入が低いため、農民は病気にかかったとき、治療を受けることが難しくなっています。こうした状況の下で、ここ数年、政府は農村地区の医療衛生対策を強化して来ました。今日は皆さんを中国西南部の重慶市の農村地区へご案内して、そこの医療衛生状況を見てみましょう。

　重慶市黔江区は50万人の人口を擁し、その大部分は農業地帯です。ある日の午前、黔江区石会鎮黎明村に住む農家の馮小梅さんは、赤ちゃんを抱いて、町の保健所へB型肝炎のワクチン注射に出かけました。馮さんは政府からもらったサービスカードを持っているので、注射料が免除されています。

　医師はこれについて、「注射料金が免除された後、子供のワクチン注射率が大いに向上した」と次のように話しています。

　「これまで多く家庭は子供のワクチン接種をしたくなかったが、費用が免除された後、自ら子供をつれて接種するようになりました」。子供のワクチンの注射のほか、妊娠中の検査費用と出産後のサービス費用も免除されています。これによって農家の医療負担が大いに減少しました。

　2003年から、黔江区は重慶市の初の農村医療合作テスト区の一つとなりました。一人当たり年間にただ10元を納めれば、政府による合作医療基金から50元の補助金を受けることが出来るようになります。こうして、毎回の医療費の40%が免除され、入院する場合、医療費の65%も免除されます。これらの優遇政策によって、多くの農民は基金へ加入する意欲が強まり、去年12月まで、この地区の7割以上の人々は合作医療基金に加入しました。

　黔江区中塘郷保健病院で、記者は出稼ぎから帰ってきた朱小兵さんと会いました。朱さんは記者に、「娘は熱が出たのですが、診断や薬の費用は合わせて8元しか使いませんでした」として、次のように話しました。

　「現在、病気を見てもらうのは非常に便利になり、医者も親切です。私たち一家3人も合作医療に加入、子供を出産した時、数千元の費用が免除されました。この合作医療制度を歓迎します」。

　黔江区は合作医療制度を実施しているほか、医療施設の整備に大量の資金を投入し、医療サービスのレベルを向上させました。

　数年来、黔江区は財政の予算や融資を通じて、2000万元を集め、町の保健病院や村の医務所の建設に投入しました。現在、全区には15ヶ所の病院と医務所があります。

　黔江区農村の医療衛生状況の変化は一つの縮図と言えます。過去数年間、中央政府は農村の医療衛生分野への投資を絶えず拡大し、また、2006年から2010年までの5年間に農村の衛生インフラ施設の整備に300億元を投入する計画です。これには合作医療費への拠出が含まれていないということです。